Hero of the End〜Legend of Zelda〜

□第六話
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彼女は父と母が望み生んだ娘でした。
ですが、望まれた容姿を受け継いではいませんでした。
「何故、この子は異端の姿に…」
彼女は幼い頃から疑問を持って生きました。
「どうして私の髪は皆のように茶色ではないの?」
彼女は父と母のような金の髪に生まれたかった。
召使たちのような美しい茶髪になりたかった。
「ネール姫様。初めてお目にかかります。
私の名はアウロラと申します」
そんな時に彼は現れました。
騎士団長の息子であるアウロラと言う男の子です。
思えば騎士団長も髪の色は青でした。
彼は異端の赤。その美しい赤に私は気づきました。
「きっと私達は選ばれた人なんだわ」
運命が私達を選んだ。そうとしか思えない異端の色。
他の種族の使いの者達ともたくさん話したけれど
彼のように美しい赤も、私のように明るい水色も見たことがない。
「ネール姫はなんて美しいの」
「あの水色の髪も、ネール姫であれば美しい宝石ね」
…でも、アウロラは傍にいてくれたけど、皆羨むばかり。
アウロラと私の気持ちを分かってくれる人はいない。
「だけどあんな尖った耳じゃ…ねぇ」
「神の声が聞こえるんだとさ」
「あぁ、恐ろしい。何を言われるかわかったもんじゃないよ」
「本当に神の声が聞こえるのか?」
「異端の髪を持つんだ。異端の神の声が聞こえるに違いない」
私達を孤独が包むのです。
王宮で信じられるのはアウロラのみ。
アウロラが団長として私の側近になるまでは
どれだけ心寂しかったことか…。
そんな時、父が貴方達のことを教えてくれたのです。
「ネール。お前のように異端の姿で悩む者がいるのだ」
「本当なの?」
「ローリスと言う美しい緑の髪を持った少女でな」
「まぁ、ローリス…」
「ラトアーヌの端に住んでおり、普通の民だ。
だが、彼女は誰にも負けない美しさと優しさを持っている。
お前のようにな」
私は貴方のことが気になりました。
そして、貴方達の教会を時折見てくるよう
騎士団にこっそり命令したのです。
「ネール…ローリスの傍にいるレアンドロスと言う男。
あの男も運命を持っているに違いない」
「まぁ…本当?アウロラ」
「彼から強い力を感じる…。
まるで、運命を抗うような…もしかしたら
今の私達のこの異端と呼ばれる差別を失くしてくれるかもしれない…。
そんな気高い獣の魂を持つ男だ」
「どんな姿をしているの?」
「燃えるような赤い髪にまるで猫のような黄金の瞳。
硬く強い岩のような美しい黒い肌に尖った耳」
「…素敵。いつか会ってみたいわ」
「会えるさ。私が必ず君に会わせる」
「えぇ、そうね」
私達は貴方に運命を感じていました。
異端の姿の者は数人いれど、見たことがない異端の姿は数おらず…。
貴方方に会い、話をすることこそが私の夢。
運命が私達を引き寄せたのか、私の運が貴方達を引き寄せたのか
神託によって貴方達二人を見ました。

「…おわかりいただけますか?お二人とも。
貴方達は私達と共に世界を救う運命にいたのです」
ネールの長い話が終わり、息が少しだけ出る。
彼女の物語はまるで目の前で起こったことを聞いているような
そんな錯覚に陥る。これもまた異端の姿をしているからか。
「でも、そんな。俺達にそんな力があるなんて…」
「いいえ。貴方は気づいていないだけよレアン」
レアンドロスが目を丸くさせる。
ローリス以外で愛称を呼ぶ者はいない。
「貴方ならきっと救える。…いいえ、貴方達なら、必ず」
ネールが微笑む。それは彼女達に勇気を与えるきっかけとなる。
「さぁ、朝食は終わったね」
「あら、もうそんな時間?」
「君の話はいつも長い」
「乙女の話は長くて当然よ。よろしくて?」
「嗚呼、仰る通りだ」
ケラケラと笑いながらアウロラは席を立つとレアンドロスとローリスを手招きした。
「長旅になるからな。
王宮を出なければ休暇でいいと優しき姫から言われている」
「まぁ、皮肉ね?優しいなんて今まで全然言わないじゃない」
「それは君がいつも休ませてくれないからだろう?」
「まるで私がいつも貴方を長話に付き合わせているみたいじゃない」
いやいや、もっと違う方向に考えちゃう私達、変ですか。
なんてツッコミを入れたいローリスを抑えるようにレアンドロスも抑える。
絶対コイツら恋仲だよ。なんて絶対言わない。
言っていいだろうか…ここまでオープンだし…。
いやいや、一国の姫が身分の差がありすぎる団長と恋仲とか言っちゃいけないだろう。
言っちゃいけないけどここまでオープンにしてたら言っていいよね。
いや、それで俺達やっぱり首を刎ねろなんて言われたら滅相もない。
…そんなこと言う人には見えないけどな。
「どうした?レアン、ローリス」
「「ナンデモナイデス」」
「じゃあ、王宮の案内をしよう」
いずれ、ツッコむ日が来ることを私達は忘れてはならない…。

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