闇を愛した魔女

□プロローグ
1ページ/1ページ

黄昏時、この世界で最も美しいとされる時間。
「…この世界を見守るのも、私の運命…」
彼女は砂漠の端からハイラルを見下ろす。
…今ではこの砂漠も既にハイラルの手の中。
「シア様」
「…まだ、帰らないわ」
「…今日は…随分悩まれているのですね」
「知っている?お伽噺には光と影が存在するのよ」
男は首を傾げる。
「このハイラルが光で、彼女が影ならば…私達は何者なのかしら」
手に持っていた光の粒をハイラルのほうへと息を吹きかけ飛ばす。
「平和な時代に終止符をうつように災厄は訪れる」
「ガノンドロフ…ですね」
男の言葉に少しだけ眉間に皺を寄せる。
「…私は、待っていたのかもしれない。待っていなかったのかもしれない。
でも、どっちでもいいわ…あの人が、私を覚えてくれているのなら」
男が彼女にローブを渡し、彼女はローブを羽織ると魔法の詠唱をした。
その瞬時、彼女と男の姿は消える。
彼女もまた、待っている。変革の時を。

「ラナ、貴方が来るのを私は待っている」


闇を愛した魔女


黒雲の隙間から、一筋の光がハイラルを照らし、そして、消えた。
次の章へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ