White Beard Family

□White Beard Family8
1ページ/1ページ

「はるじま?」
「そうだよい。次につく島はそこだ」
「おふねは?」
「島にいる間は降りてもいいよい」
「そっかー」
次に行く島が決まり、なんとなくみんなそわそわし始めた今日。
おチビさんはその空気をすぐに察し、マルコへと問いかけた。
だけど、なんとなく言っていることはわかっても、想像がつかない。
そのため、曖昧な表現になってしまう。
「嬉しくないのかい?」
「んー…マルたんいっしょ?」
「…仕事がなければねい」
「おしごとたいへん?」
「そうだねい」
おチビさんの頭をポンポンと撫でながら春島までの仕事を思い出したマルコ。
…早めに終わらせることができれば丸一日ゆっくり観光はできるかもしれない。
そのためには、必ず通らなければいけない難問。
「よぉ、ちび、マルコ」
「エーシュ、おひるね?」
「おう!今日は絶好の昼寝日和だぜ!」
「ひるね…びおり?」
「おぅ!」
エース。奴は食い逃げ常習犯であり、報告書サボり常習犯でもある。
背中に大きく白ひげのマークを掲げているし、賞金首のため
勇気のあるコックたちはたびたび彼が食い逃げすればお金を取りに来る。
さらに、彼が暴れて壊した家などの始末書。
…奴は全て出さない。出すとしても長時間見張って、だ。
エースが書かなければ意味がないものもあるし、そもそもエースが始末書を溜めすぎて
マルコ一人では抱えきれないのだ。
「エース。昼寝もいいが、始末書はどうした」
「あ、いっけね。忘れてた。わりぃわりぃ」
「今日こそは出してもらうよい」
「って言っても、マルコはチビの世話だろ?」
「…チッ」
「それに俺、この後釣りの予定は言ってるし」
困った。非常に困った。
おチビさんは誰にでも懐くいい子だが、マルコに異常に懐いているため
マルコの前ではニコニコしていても、マルコがいなくなると突然泣き出すことがある。
そのため、今までは他のサボり常習犯の分も始末書を書いていたが
なんとなく気を利かせて皆出してくれるようになった。
だが、マルコのもとの仕事の量は多い。さらに、一番の問題のエースが出さない。
これじゃあ春島観光なんて夢のまた夢だ。
「おチビさん。春島で一緒に買い物したいけどよい…」
「いっしょ!」
「…エースが大事な物を出さないと一緒に行けないんだよい」
「…いっしょにいけないの?」
「エース次第…だねい」
その言葉を聞いたおチビさん。突然下を向いたと思えばウルウルと涙を無理やり溜めて
必死の上目遣いでエースを見つめる。
「…おねない。エーシュ」
「俺はいやだからな」
「…いっちょうのおねない」
「や・だ」
「エーシュ…きらいよっ!!」
「そんなこと言うなって!な!?」
「きらいよ、きらいっ!!」
「なっ…」
春島まで、おチビさんは何度も「一生のお願い」を使ったが
エースは頑なに首を縦に振らず、マルコも仕事のため
当日はサッチが買いだしついでにおチビさんとついていくことになった。
次の章へ
前の章へ

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ