White Beard Family

□White Beard Family14
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カモメ便は毎朝新聞を持ってやってくる。
その新聞には変わりない政府の動きであったり、海軍のお手柄だったり。
時にはルーキーたちの懸賞金額が上がっていたりする。
兄弟達の懸賞金額が上がってないかをチェックするのが
マルコの仕事の一つでもあった。
最近の白ひげの動きは特に何もなかったため
自分達の懸賞金はそこまで変わってもいないだろうと楽観視しながら見つめていた。
「へぇ、こんなルーキーが出てやがるのかい」
今日は家族のニュースはなさそうだ。
海軍がまたルーキーたちを捕まえただのそういうニュースばかり。
一枚一枚手配書を見て行くが、特にこれと言って根のある奴が載っているわけじゃなさそうだ。
「……よい?」
最後の一枚。マルコは首を傾げた。
懸賞金額は一万ベリー。Dead or Aliveではなく、Alive。
つまり生かして捕えろと言う命令。
海賊団名は赤髪海賊団。写真には船長であるシャンクスが写っている。
問題は、そのシャンクスの腕にいる小さな少女である。
「どうしたマルコ」
いつもなら数秒でしまう手配書を何分もまじまじと見ているマルコ。
気味が悪いとサッチとエースが近寄り二人とも手配書を見る。
「へぇ、一万ベリーだってさ」
「どこの海賊団だ?」
「赤髪だってよ」
「名前は?」
「涙姫…だってさ」
「なんだそりゃ」
「さぁ、写真も若干泣いた後みたいだぜ」
「ほんとだ。そういえばうちのおチビさんもこんな風に泣くよな」
「あぁ、そっくりだ」
「ガキってのは顔が似るもんかよい」
「「「………」」」
三人同時に黙りこくる。彼女は今、白ひげの前で兄弟達を引き連れておままごとだ。
「「「親父!!!!!!!!」」」
三人同時に白ひげのもとへ駆け込む。
「グララララどうした息子よ」
「親父!これ!これ!」
「懸賞金かけられてるんだよい!!」
甲板にいる全員がざわざわと騒めきだす。
俺か?俺か?と嬉しそうに名乗り出る者もいれば
また隊長たちの懸賞金が上がったのではと嬉しそうに言うやつもいる。
「誰がだ?」
「おチビさんだ!おチビさんにちがいねぇ!」
騒めいていた船員達が一斉に黙る。
おままごとを楽しいんでいたおチビさんは首を傾げる。
「マルたんよんだ?」
「お前!いつ撮られたんだよい!」
「あー!しゃしんだー!」
「綺麗に撮れてるよい…じゃなくて!!
お前!赤髪海賊団の船員だったのかよい!!」
「いや、そこでもねぇだろ!」
思わずエースが突っ込む。
「おチビさん。お前、これ、赤髪のところに行ったときに
撮られたんだな?」
「あーシャンクシュといっちょ」
「あーじゃなくて…」
「グララララララララララララ!!今日は宴だ!!!」
「いや、親父!」
「お前達が守ってやるんだろう?
そうそう死にはしないさ。なぁおチビさん」
「じぃじが撮ってくれたの?」
「おらぁこんなに綺麗に撮れねぇよ」
「じぃじの手、おっきいもんね」
白ひげがグビりと酒を煽ると、マルコを見た。
「そいつを飾っておけマルコ。
それから政府に連絡だ。こいつは赤髪海賊団じゃねぇってな」
「いやいや、連絡も何もできねぇよい」
「じゃあ海軍本部に突っ込むか」
「それもだめだよい」
「よし、マルコ。海軍の前でそいつ抱きかかえて写真撮られて来い」
「いや、どういうことだよい」
マルコは大きくため息を吐く。
…しかし、何故手配書に載せられているのだろうか。
シャンクスが子供を抱っこするぐらい別にどうってことないだろうに。
…だが、シャンクスは彼女を抱きかかえて船に乗せ
さらにはそのまま出向している。仲間と思われても仕方がない。
涙姫(るいひめ)と書かれているのも、泣いていたからだろう。
「名前はおチビさんなのか?」
イゾウが問いかける。
「いや、涙姫だよい」
「そりゃぁいい。おひいさんにぴったりの名前だ」
「るいちめ?おちめさまなの?」
「手配書に乗った祝いに何か送らなければな…。
年代物のワインはいかがかな?」
「おチビさんはまだ子供だよい」
ビスタにマルコが突っ込む。
「おチビさんもこれで僕たちの仲間入りだね」
ハルタが嬉しそうに笑っておチビさんを抱き上げる。
おチビさんは何を言っているのかよくわからないようだ。
ただ、皆の嬉しそうな顔に嬉しそうに笑う。
…だが、ただ一人、釈然とした気持ちでいる男がいた。
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