本編

□居場所 完
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経済特区日本。

待機時に使用する仮住まいで、ソファーに座って端末を確認する。
連絡が無いことを確認してモニターを落とす。そして、日付や時間を確認する。

何度繰り返しただろうか…

一人で過ごす時間がこんなに長く感じるのは久々だった。いつもなら必ずっと言って良いほど隣にいる存在。
無意識にその存在を捜してしまう自分。

慣れていたはずの一人が不安で、寂しく感じてしまう。
待機命令は明日の10時まで。今頃はアレルヤとロックオンがミッション中だと聞いている。


正午を過ぎてだいぶ経った。気を紛らわしたい気分になり、外に出て何か食べ物でも食べようと考えた。

ジャンクフードを買い、近くの公園のベンチに座る。周りをぼーっと見渡しながら食べる。

ーそんなものばかり喰ってたら身体に悪いだろ

いつもの小言を思い出しながら、また一口と、食べる。

その時、自分の端末にメールが届いた。一斉送信のメールの内容は、ミッションクリアとの内容だった。
予定通り明日は召集となった。

ー会える。

心が弾むのが分かる。
食べ物を食べ終わると無意識に早足でマンションに戻った。
シャトルの時間を確認し部屋を出て鍵を閉めた。

…?

不意に気付く。自分は何故急いでトレミーに行こうとしているのかを。
明日の朝に出ても間に合うのに、どうしても気持ちがそわそわする。

エクシアに会いたくて、俺は動いてしまったのか?

自問自答して足が止まる。

でも、どうしても気持ちの方が先に出てしまい考えるのを止める事にした。

一番早いシャトルを確認して先を急いだ。





日付を跨ぎトレミーに到着した。
自分の姿を見て驚くスメラギは、すぐにいつもの顔に戻った。
報告を済ませて部屋を出る。

ラボに向かうが、人とすれ違う事はなくエクシアの前まで辿り着いた。
近くに寄って手で触れる。
ひんやりした感触に安心の声が漏れる。
側にいる存在感に安心が満たされる。

でも、未だにそわそわする気持ちが無くならない。
自分自身に呆れて溜め息が出てしまう。
その理由を認めるしかできなくて、その場を後にした。

そして、マイスター達に充てられている居住区域に向かう。

自分の部屋でない扉の前に立ち、入れ慣れたパスコードを入力する。
部屋に入り部屋の主人を探すと、ベッドで規則正しく上下する動きに寝ているのを確認した。

確認しただけで満たされる。

すぐにでも駆け寄りたいのをぐっと堪えて静かに近寄った。目の前に立ち、背中を向けている存在。

『ロックオン…』

音にならない言葉を言い、ベッドに潜り込んだ。ロックオンの匂い。ロックオンの体温。
心が満たされる感覚に眠気がくる。
ロックオンに擦り寄ると、急に腕が伸びてきて焦る。

『起こしてしまったか?』

そのまま腕枕の中に納まり抱き締められる。慌てて顔を覗き込むとどうやら起きては無いみたいだ。
無意識にしてくるロックオンに愛しさを感じ、自分からもロックオンの胸に擦り寄り鼓動を感じた。


安心するリズム感に本格的に寝に入った。


2016.5.4
end.

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