本編
□嫉妬 完
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こんな気持ち要らない
その為には、ーー。
「刹那…?」
「なんだ」
何を言いたいのか顔に書いているというのが当てはまる。
だが、それを敢えて分からないふりをした。
「本気なのか?」
「ああ、これ以上俺に関わるな。」
そのままブリーティングルームに向かう。不意に腕が伸びてきたがちょうどその時ティエリアが現れた。
それにより伸びてきた腕が下がったのを見計らって逃げるようにその場から動いた。
スメラギからの今度のミッションの説明を確認して解散となった。明らかに近寄ってくるのが分かり、敢えて周りに合わせて部屋から出た。
そして、そのままアレルヤとラボに向かった。エクシアに乗りOSを確認していく。
一人になる時間はどうしても考えてしまう。この前町で女性と話していた事。道を聞かれているだけかと思い近寄ると、口説かれている所だった。
自分が近付いたのに、気にした様子もなく腕を取ろうとする。
その時、自分の立場を痛感した。
自分は周囲の人からは恋人というカテゴリーに該当しない事を。
その後に、ロックオンが俺に気付いて女を足らって肩を抱いてくれた。
いつもなら嬉しい事なのに、一度考えてしまうと辛くて自分の殻に閉じ籠ってしまう。
「刹那。いる?」
少し離れた所から聞こえる声。
エクシアのコクピットから覗くと、そこにはフェルトがいた。
「なんだ?」
「スメラギさんが渡し忘れたからって、…これ」
受け取った物は包装紙に包まれた物だった。
「これは…?」
「スメラギさんが、この前地上に降りた時のお土産みたい」
「ありがとう。スメラギにも言っておく」
「うん、お願いね」
フェルトがその場から去って、自分もまたエクシアの中に戻る。
フェルトから受け取った物を手近に置き、作業を再開する。
大方OSの確認も終わり、休憩するため自室に戻る事にした。
コクピットを出ようとして思い出す包装された物。そして、その連鎖でフェルトの事を思い出す。
フェルトは、ロックオンの事を好きだ。
その事が分かるだけで自分が醜く感じた。
誰が誰かに恋をしようと勝手なのに、どうしてもロックオンの事を好きだというのが赦せなかった。
フェルトは大事な仲間なのに負の感情を持ってしまった…。
自分自信が原因ならば、それを断ち切ればいい。
その考えが全てを丸く納める方法だと出た結果だった。
遅い時間になっていたので、軽食で済ませて終おうと考えて自室に向かった。
部屋の簡易キッチンにあるものを思い出す。
確かプロテイン系があったような気が…
自室に入った。
その時だった。いきなり抱き締められルように束縛が掛かる。
こんな事をする奴なんて一人しか思い浮かばなかった。
「っ、ロックオンッ!」
「…やっと捕まえた。」
ロックオンがきつく抱きついているせいで身動きが取れない。段々焦りからか、…寂しいからなのか。
涙が込み上げてきた。
「は、なせ…」
涙混じりに言葉を紡ぐ。すると、ロックオンは更に俺に密着するように俺の肩に顔を埋めた。
「離さない。こんなに泣いてるのに…。刹那はなぜ強がりを言うんだ。」
「俺は、お前から離れると…、ロックオンを、自由に、すると決めたんだ」
「俺はそんな事望んでない」
無理矢理、向き合う形を取られ目と目が合う。刹那の目から溜まっていた涙が落ちた。
「俺は刹那から離れたくない。」
流れた涙の跡を優しくロックオンの指が掬った。
「刹那は俺の事嫌いになったから別れたいって思ったの?」
「…違う」
弱々しく刹那から返事が返ってきた。さっきまで強い抵抗は影を潜め立ち尽くす刹那はとても弱ってるように感じた。
「じゃあ、教えて。どんな事でも刹那の気持ちを受け止めるから…」
言葉を掛けると、肩を小さく震わせ始めた。あやすように背中を擦ってやると落ち着いたのか強張っていた刹那の身体も力が抜けていた。
移動してベッドに腰を掛け、刹那を自分の膝に横抱きにして乗せる。
刹那が話しやすいように顔を見ないように自分の胸に刹那の頭を寄せる。
「刹那、教えて。」
刹那は一息置いて、躊躇いながら言葉を選んで話始めた。