本編

□自分の全て 完
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俺は一人だ。
昔から…
いや、俺は自分から一人を選んだんだ。
自分で親を殺した。

だから

俺は誰かを欲してはいけない。


なのに、心が言うことを利かない。

どうしたら、いいんだ…


「刹、っな…」
「ぁ、ゃ…ロック」

ロックオンが刹那の腰を掴み本能のままにピストンを繰り返す。ロックオンが自分の身体で感じてくれているのが嬉しかった。
ロックオンの手を上から重ねる。

「ロック、んっ、…も、ぉ」
「ん、俺も、イクッ」

ロックオンと刹那の間にも、刹那の中にも止め処なく精液が溜まっていた。
そんな事もお構い無しにロックオンは刹那を腕の中に抱き込んで頬や瞼にキスを降らせていく。
互いの息が落ち着き始めると、刹那が暴れだす。

「早く退け」
「…はいはい、っておい大丈夫か?」
「問題無い…」

身体をずらして刹那を自由にすると、すぐに立ち上がろうとして足腰がふらつき倒れ混んでしまい、床に着く前にロックオンの腕に収まった。

「もう少し休んでからにしろよ」
「いい…」
「まったく強情だな…。なら一緒に着いていく」
「…好きにしろ」

ロックオンが心配して言ってきているのが分かるが早く一人になりたかった。部屋の簡易シャワールームに向かおうとした俺にロックオンは俺を抱えて連れていってくれた。



「これでよし!」

自分で入りたいと言って、結局は立つことができず全てをロックオンがしてくれた。終いには服まできちんと着せて。

「すまない」
「こういう時はありがとう、だろ?」
「…部屋に戻る」
「まったく、…おやすみ」

どうにか歩けるまで回復して自室に戻るべく扉に向かう。
部屋に戻るまでに人には会わずに済んでほっとしながら自分のベッドに沈みこむ。
その反動で自分の体内に残っていたロックオンの精液が伝っているのが分かった。まだ、身体に余韻が残っていて声が漏れる。

「ふっ、…ん」

ロックオン

ロック…

一人になるとロックオンの事を考えてしまう。今でさえロックオンのモノが自分から出ていくのが悲しかった。
ロックオンをずっと感じていたかった。
でも、自分にはそのように思う資格はない。

ダメだ…
考えるな

考える事を止める為にも、刹那は身体を冷ましてから寝ようと考えた。早く冷やすためにも部屋の温度設定を最低値にした。





遅めの朝食を食べ終えたアレルヤがトレーを戻していると、刹那がカウンターに立っているのを見かけた。

「おはよう刹那」
「…おはよう」

刹那に声を掛けるとどこかいつもと違う違和感を感じる。
その違和感を探るために目を見て気付く。

「刹那、もしかして体調でも悪い?」
「なぜだ?」
「だってぼーっとしてるし、…いつも以上に食欲無さそうだし、ね?」

刹那がオーダーしたものが、トレーに置かれてさらにアレルヤに言われる。

「…特にいつもと変わらない」
「じゃあ、僕が心配だからお願い。自分の部屋で休んでいて?医務室から薬持ってくるから」
「いや、大丈夫だから」
「なら、ロックオンに言うよ?」
「…分かった」

刹那は苦虫を噛んだみたいに嫌そうな顔しながらも渋々自室に戻っていった。そんな刹那にアレルヤは苦笑しながら見送った。
刹那はロックオンが絡むとなると言うこと素直に聞いてくれる。
あの二人の関係は観察していたら何となく分かるが、何故か刹那の方がロックオンに一線を置いているのが分かる。
ロックオンは大人だけあって、余裕のある態度だが、刹那はとても不安定に見えた。
今考えても始まらないので、とりあえずは傍観者として様子を見るしかない。

「さて、と…」

アレルヤは医務室に向かうため食堂をあとにした。

「すいません、体温計と風邪薬処方してもらえませんか?」
「よぉ、アレルヤ風邪でも引いたのか?」
「あれ!?ロックオン居たんですか?」
「ちょっと、…な」
「…そうですか」
「まぁな…。で、どうなんだよ?」

医務室に入るとモレロだけでなく、ロックオンまで居た。ロックオンが医務室に居ることに驚きどうしたのか訪ねると、話をはぐらかされた。
手にはファイルを持っていることから何か相談なのかもしれないと窺えた。
聞かれたくないことなのかもと思い話の流れにのる。
アレルヤにも聞かれたくない事は一つや二つは有るものだからと結果が出た。


「ちょっと風邪っぽい人が居るんで、部屋で休ませているから、薬届けようと思って」
「宇宙に居るのに風邪?」
「詳しくは聞いてないんですけど、そんな感じです」
「咳とか食欲ありそうか?」
「咳はしてませんでしたけど、いつも以上に食が細くなってそうでしたね」
「そうか、とりあえずは検温をして熱が高い場合はこの薬も一緒に呑ませなさい。」
「ありがとうございます」

宇宙で風邪を引くことが珍しいので、ロックオンが不思議がり、話の間からモレロが手際よく薬を処方してくれた。
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