本編

□時間を戻して
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「ぁ、やぁ…」
「嫌、じゃ無いだろ?」

ロックオンに自分の良いところを突かれる度に喘いでしまう。

「ふっ、んっ。ロック…もっとぉ」
「ああ、俺も刹那が欲しい、っ」

ロックオンのモノを奥で感じかながら、それ以上の快感を求めてしまう。それも、きっとロックオンの事を誰よりも愛しているから。
加速していくピストン運動に絶頂を迎えそうになる刹那は、ロックオンにキスを求めて顔を見上げた。
そんな刹那を分かっているからか、ロックオンも刹那に近付き深くキスを交わす。刹那の口からは快楽から声が漏れて、とても艶やかに見える。

「んっ、ぁ、ぁっ、」
「もっと声を聞かせて、っ」
「ひゃ、ぁあっ」

ロックオンに耳元で囁かれて、声が裏返ってしまう。何度もロックオンを絞め付けてしまったからか、段々とロックオンからも余裕が無くなってきているのが窺えた。

「刹那、絞めすぎっ、…イキそっ」
「ロック、っ…中、ぉくっ」

生理的な涙を浮かべながら求めてくる刹那が可愛くて、イクのを我慢せずに刹那の腰を掴み思いっきり上下に揺さぶる。本能のままに快楽を求め互いを貪りあった。
刹那は一際高い声を出して自身の腹の上に欲を勢いよく吐き出した。そして、ロックオンも刹那の収縮に合わせて刹那の中に欲を数回に分けて出す。

刹那を抱き締め頬にキスを贈ると、余韻に浸っている刹那の目がぼんやりとロックオンを見つめてきた。

「ロック…。好きだ」
「俺も、お前を愛してるよ」

刹那をベッドに寝かせたままロックオンは濡れタオルで綺麗にしてくれる。
ある程度身形が良くなると、また二人してベッドでくるまった。

ロックの腕…

刹那が寝る時は必ず腕枕をしてくれた。自分より大きい大人の腕。
自分の好きな居場所だった。




これが最期になるなんて思わなかった。

いや、分かっていたかもしれない。

でも、

自分が置いていかれる立場になるとは思わなかった。




ロックオンが自分の目の前で居なくなった。
信じられなくて、
何も考えられなくて、
…ただ、叫んでいた。

プレイマイオスにどうやって戻ったのかも分からず、気付いたらロックオンの部屋の前に立っていた。

入力し慣れたパスコード。部屋に入ると乱れたベッド。
そして、ロックオン・ストラトスの居ない現実。

地を蹴ってベッドに到着した。倒れこむようにベッドに丸まるとロックオンの匂いがする。

「ロックオン…、っ、…ロック」

言葉にすると、これが現実なんだと意識してしまい、涙が次から次へと溢れ出した。
大切な人を亡くすのがこんなにも辛いなんて思わなかった。
叫びたい声を枕で押し付けて声を殺して叫んだ。

何時間もずっと泣いていた。どのくらい経ったのかも自分では分からなかった。頭の中ではロックオンしか考えられなくて、精神がかなり消耗されたからか、手が震えていた。

その時、扉が開いた。

ロックオン…?
ロックオンが帰ってきた?
きっと、自分は悪い夢を見ていただけ。

ベッドを蹴って登場人物に抱き付いた。

「ロックオンっ、…ロックを、ロックを待ってた」
「あ、刹那…」

顔を上げて相手の顔を覗いた。だが、困惑したエメラルドグリーンの瞳が刹那を見つめていた。

「ぁ、…フェルト」
「ごめん。刹那を連れてくるように言われてて…、きっと、ここに居ると思ったの…」

フェルトが視線を合わせながら刹那に伝えたが、刹那はどこか不安定で弱々しかった。
刹那がフェルトから距離を取ろうとしてバランスを崩したのを見て、慌ててフェルトが手を伸ばした。
刹那も分が悪くされるがまま、フェルトの手に支えられながら立った。

「…スメラギか?」
「うん…」
「…あとで行く」
「本当に?大丈夫?」
「気持ちに整理が出来次第向かう…」
「…分かった」

ロックオンの側に居させて欲しい。
まだ、離れたくない。
ほっといて欲しい。

刹那の気持ちが伝わって来たように感じた。そして、このままにしていたら刹那が壊れてしまいそうにも。
フェルトはどうしたら良いのかも分からず、刹那の言葉を信じて部屋を出た。

刹那の目、かなり充血してた …

言葉に出さずに刹那を想いながら、ロックオンの部屋を後にした。刹那の為にはそっとしておきたい。
だが、今は緊張を張り詰めさせている戦争の真っ只中だ。留まってはいられない。
フェルトはこの葛藤を相談するため、また報告のために戦術予報士の下に向かった。

「スメラギさん」
「…刹那の様子は?」
「今の刹那、…始めてみました。」
「そうね…。」

顔を曇らせるスメラギを見ると、多少なりとも予想出来ていたのだろう。
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