番外編

□初恋 完
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「お兄ちゃん!急がないとライルお兄ちゃんが着いちゃうよ!」
「分かってるって!」

洗面所まで着て、俺を焦られるエイミーに返事をしながら身仕度を整える。
今日は久々にライルが帰ってくるからと、エイミーと駅まで迎えに行く事にしていた。

駅に到着して、喫煙所にいたライルにエイミーが駆け寄って行った。

「待ちくたびれた〜」
「はいはい。分かったから早く車に行こうね〜」

ライルとエイミーがふざけながら車まできて久々に兄弟3人が揃った。

「ライルは昼飯食べたか?」
「いーや、兄さん達は?」
「まだだよ!私お腹空いた〜」

もうすぐ昼時だったのもあり確認するも、まだ食べてないと言うことで知り合いの店に行くことにした。

「ライル!久々じゃないか!」
「よぉ〜。クラウス元気だったか?」

この店は昔からの旧友の店で、開店して間もないからか花輪も飾られていた。
3人はそれぞれのものを注文を済ませ一端落ち着いた。

「そういえば、ソランは元気?」
「…さぁ」

ライルの言葉に一瞬間ができてしまう。

「何、その間。何かあった?」
「何にもないけど…」

ライルもソランの事は弟の様に可愛がっていた。だから、この流れがくるのは想定していたはずだった。
だが、事実。俺は最近ソランとまったく会っていなかった。

最後に会ったのは、俺がまだ二十歳を過ぎて少し経っていた。あれから2年。
エイミーは学校で会ったりするらしいが、エイミーからは何も聞くことをしなかった。

「もう、だいぶソランと会ってないからよく分からないんだ」
「だいぶ?どのくらい?」
「2年くらいかな」
「2年!?あいつが兄さんと会わなくて!?エイミーは何か知らないのか?」
「ん〜、まぁ、少しなら知ってるけど…」

エイミーはニールの様子を伺うようにぽつりぽつり話し出した。

その話を聞いているうちに段々と雲行きが怪しくなっていく…。

「いやいや無いだろ。ソランに限って」
「それは私だってそう思うけどっ。…ソランの周りにいる人達をみたら。やっぱり噂通りなのかなって…」

ライルが少なからず苛ついているのが分かる。そんな兄にエイミーは焦りと寂しさの声を洩らした。その二人に対して、ずっと黙っているニール。
ライルはニールの事を考えると気持ちが重くなる。今のニールは表情を変えず、何を考えているのか分からなかった。

此処は俺が一肌脱いでやるか。

ライルはニールとソランの事を考えて出た答えだった。折角の長期休暇は二人の仲を取り持つ事に決定した。






誰かの視線を感じた気がした。

「どうしたの〜?ソラン〜」
「いや、何でもない」

甘い声音を出す女に行為を続行する。ピストンを速めると女の喘ぎ声が更に高くなった。
耳に突く喘ぎ声と互いの息遣いが興奮させる。
そろそろ終わらせようと、集中して奥を何度か突いて精液を吐き出した。

奥に何度かに分けて全てを吐き出すと、余韻に浸るわけでもなく女の膣から自身を引き出す。
自身を被せていたゴムを外して直ぐに捨てた。

「ねぇ、ソラン。抱き締めて」

背中に腕を廻して擦り寄って来る。

「眠い…」

一言言って、女の腕を外してベッドにそのまま寝転がる。

「っもう、ソラン!」
「…。」

特に大事でもない女にもう興味は無かった…。

日も暮れて、辺りが暗くて目が覚めた。背後には擦り寄って寝る女がいた。
スッキリした気分で帰り支度をして、女の家を出る。

遅い夕飯にと、家の近くのコンビニに寄りおにぎりを一つと牛乳を二本買って家路に戻る。

家の鍵をポケットから探しながら歩いていると、マンションのロビーに人がいる気配がする。他の住人にしてはオートロックを開ける素振りがない。変質者かもしれないと疑いながら近付いた。

あれは…

顔を確認出来るまで近付いて気付いた。

「よぉ、久しぶりソラン」
「…ああ、久しぶりだライル」

乱暴に頭を撫でられ、その腕を振り払う。それでも懲りずに、ソランの額に人差し指で突っついた。

「しつこい…」
「んな事言わず早く開けて♪」

ライルがオートロックを開ける様に言ってきたので、家に上がる気でいるのが窺えた。ため息をつきながら解錠すると、ライルは気にした様子もなく先に進んでいった。



「久々にソランの家に来たわー。」

懐かしむように、辺りを見回していた。

「今日おばさん達は?」
「結婚式に呼ばれたらしく二泊三日で居ない」
「ソラン置いて!?」
「俺が拒んだ。」
「あー、なるほど」

ライルに返事を返しながらおにぎりを食べる。

「ソラン、それって夜食?」
「遅い夕飯」
「もう10時前ですが…」
「問題無い」
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