変態捜査官:re

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 ガチャガチャと食器と食器がぶつかる音が聞こえる。
それから、二人の話し声。


「すまんねー、泊めてもらって」

「いえ、客人用なので部屋何もいてないですが」


 どうぞ、という。


「すっごいブカブカだけど寝巻きも貸してくれてありがと」

「いえ、寧ろそれくらいしかなくて申し訳ないです」


 洗った食器を絢瀬に渡せば絢瀬が丁寧にその食器を拭く。
それの繰り返し。


「そういえばさぁ」


 絢瀬が思い出したように口を開く。


「なんで私の事そんな変態変態言うのん?」


 聞きたかったこと。
いくらなんでも警戒しすぎだろう、と絢瀬は思う。琲世は、一度食器を洗う手を止めると


「アキラさんや有馬さんに忠告されたから?ですかね」


 疑問系。
それでも絢瀬には十分だった。


「にゃにー!やっぱりあの二人か!」

「やっぱりって…えーっと、確かアキラさんには、亜門元上等捜査官の鉄の処女を奪ったとか何とか言われましたね」

「わけわからん!なに?鉄の処女って!?鋼太朗クン男だよ!私女!処女奪われるのはこっちでしょ!?」

「絢瀬さんって処女なんですか?」

「はい、天然セクハラいただきましたー」

「あ、すみません!」


 顔を赤くして顔を伏せる。
それを見て苦笑いする絢瀬は、濡れた手でつんつん、と琲世の頬をつついた。


「ちょ」

「可愛いのうー、佐々木の琲世くんよぉー」

「やめてください」


 まったくもう、と怒った横顔を見て懐かしむ。
やっぱり見れば見るほど彼に似ている、と。今度、そこのところ有馬かアキラに聞いてみようと絢瀬は心の片隅で思いながら仕事に移った。


「しかし、嘘八百教えるとは…アキラちゃんの体を堪能する日がいよいよ来そうだね」

「うわぁ、僕やばいことリークしたみたいですね」


 アキラさんに悪い事をした、と琲世は少し反省する。


「佐々木琲世は優しいね」

「いきなりなんですか?」

「いんや、なんでもない。はい、これで終わり」


 わーい終わったー、とタオルを洗濯機のあるところに持っていく。
脱衣所から出て曲がろうとすると誰かとぶつかる。


「ったぁ」

「すまない(誰だ?)」


 しりもちをついたのはこちらの方でまったく支障がなかった相手はスッと手を差し伸べた。絢瀬はその手を取ると立ち上がる。と、その勢いでズイと顔を寄せた。


「!(なんだ、コイツ!)」


 ジーと見る。


「そのお目目。かわいいね。あと、目の下のホクロも超きゅーと。食べちゃいたいくらい」


 そういうと、ニコニコ笑って離れた。


「(キモ)」

「今キモとか思ったでしょ!?」

「(なんで分かった?)」


 ジト、と見てくるだけで喋らない。


「うわー傷つくはぁー。なんなのキミ。こんなにいい二の腕持ってるのに…」


 はぁ、とため息をつき二の腕に目をやる。服の上からでも分かるほど鍛えられたその筋肉を絢瀬は逃すことはなかった。


「なんなんだ、お前は(そもそもなんでココにいる?)」

「はろー、私、絢瀬。喰種捜査官だよ」


 手を振って挨拶する。
その間にもジーと嘗め回すように彼の頭から足の先まで見る。


「キミは?」

「瓜江」

「ウリくんね!」

「あだ名で呼ぶのやめてもらえます?」

「なんで」

「……(面倒臭)」


 雰囲気で分かる面倒臭いオーラ。
それをオールスルーすると、絢瀬はわくわくした目で瓜江を見た。


「ウリくん、二の腕お強いから触らせて」

「断る(変な女だ…恐らく、佐々木が連れてきたんだろう…明日注意しとくか)」


 えー、ケチーと言っているとタタタと誰かの足音が聞こえた。


「絢瀬さん?って、あれ、瓜江くん」


 瓜江は形式上挨拶をした。
琲世もそれに返すと苦笑いをして


「瓜江くん、絢瀬さんに変な事されなかった?」

「別になんにもなかったです(やっぱり佐々木のツレか…)」

「そっか、良かった」

「なんで私がだれかれ手を出すと思ってんの?」


 え?何?喧嘩売ってんの?
と、絢瀬は喧嘩腰に琲世に近づく。琲世はまあまあ、と近づいてくる絢瀬を両手でカバーする。


「佐々木一等。不審者を家に上げないで下さい」

「不審者?だれ?」

「絢瀬さんの事だろうね。ごめんね、瓜江くん。絢瀬さんには注意しておくから」

「それなら(さっさと追い出せよ)」

「え?私?何か変な事した?」


 混乱の中、瓜江はとっととこっちの用を済ますと二階に上がってしまった。
二階は彼らのプライベートルームがある場所だとさっき琲世に聞いた。


「可愛くないなぁ…」


 不機嫌に言うと琲世は苦笑いをした。

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