三國夢想

□青春の終焉(プロローグ)
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聖フランチェスカ学園、剣道場

??:ふぅ…こんなもんか…?

手にした雑巾を畳みながら辺りを見渡す
幾人かの男子生徒達が同じように雑巾片手に動いていた
それらを眺め一息つくと彼は声をあげる

??:よし!集合!

彼の名は北郷 一刀
見た目は少し頼りなさげだが温和でお人好しな印象を受ける
優しさが取り柄の普通の男子高校生である

一刀:今日の活動は終了
明日もみんなよろしくな、お疲れ!

部員達:ハイ!!

剣道部主将でもある一刀の言葉に声を揃えて返事した後
それぞれ思い思いの行動をするありふれた部活終わりの光景

それらを眺めながらぼんやりしている一刀に
一人の男子生徒が声をかけた

?:お疲れ、一刀!

一刀:っと、稜(リョウ)か…
びっくりさせんなよ

声をかけたのは一刀の友人である高嶺 稜

稜:何にびっくりするんだよ笑
僕のイケメン顔にか?
そうだとしたら失礼な話だな…謝れ笑

そう言って意地悪く笑う稜は目鼻立ちがくっきりした
アイドルやモデルと遜色ない程ハンサムであり
女子生徒からの人気もとても高いのだった

一刀:イヤイヤ違うって笑
後ろから急に声をかけられたら普通はびっくりするだろ?

稜:あーハイハイ、次は気をつけるから
それより文(アヤ)が呼んでるからさっさと行こーぜ

一刀:文が?なんかあったっけ…

稜:詳しくは聞いてないけど生徒会は全員集合だとさ

一刀:そっか、分かった
急いで仕度するからちょっと待ってな

稜:3分間待ってやる笑

一刀:お前は大佐かよ笑

他愛もない会話をしながら一刀は仕度を済ませ
戸締まりを副部長に任すと稜と二人道場を後にする

稜:お疲れ様です部長
あ、今は会長と呼んだ方が良いか?

一刀:茶化すなよ…笑

ちなみに一刀はこの学園の生徒会長でもあり
稜は生徒会書記を務めている

一刀:大体、なんで俺が生徒会の
しかも会長なんだろうなぁ…
全然、向いてないんだが笑

稜:いつまで同じこと言ってんだか
確かに大変な役職だけどさ
中々しっかり出来てると思うぞ?

一刀:そうだと良いけどな
俺より稜とか文の方が向いてると思うんだよなー
文なんて学園トップだろ?

稜:言いたいことは分かるけど少なくとも僕は無理だ
文の方は成績はともかく性格的に無理だろうしな

一刀:性格的ってもあいつは猫被り得意だから大丈夫じゃないか?
たまに二重人格かと思えるレベルだぜ、アレ笑

稜:あははは!確かに笑

??:誰が二重人格って?

一刀&稜:うわっ!

後ろから声をかけられ思わず驚く
それを眺めてニコリと笑うのは
今まさに話題に上っていた人物、蔡条 文貴
二人と同じ生徒会の会計でもある

文:猫被りとは心外なんだけど?
目上の者には礼儀正しいって言ってくれない?

稜:急に背後から現れんなよ…

一刀:ビックリした…
(本日二度目とか…狙ってんのか?)

文:後ろからでも仕方ないでしょ?
私も剣道場から来たんだし

一刀:なんで剣道場から…

稜:せめて声のかけ方は考えろよ…

文:一刀からは返信ないし既読もつかないし
迎えに行ったら稜が先に連れて行ったって聞いて
急いで追いかけてきたら二人して私の悪口言ってるし
急に割り込んで驚かそうかなって♪

一刀&稜:(やっぱりby一刀)確信犯か!

文:当たり前でしょ?
ちょっとした仕返しなんだから笑

稜:タチ悪いぞ…文

一刀:心臓に悪いな…

文:やられっぱなしは性に合わないの
やり返さないと気が済まないからね

稜:あーハイ、悪かったよ…

一刀:ごめん…

文:許すー♪(キャピッ)

一刀&稜:ぶりっ子はやめろ!!

文:似合うでしょ?

一刀&稜:だからだよ…

文:アハ♪これで男だもんね〜?

そう他人事のように笑っているが
二人がゲッソリするのも当然で
文は顔立ちも中性的で肌も白く体型も華奢な上に
髪も肩に掛かるほどに伸ばしており
加えて言葉遣いや仕草なども女性らしい為
どこからどう見ても女性にしか見えないのだが
性別はまごう事なき男なのだった

文:似合ってるなら良くない?

一刀&稜:良くない!

声を揃えたツッコミにに文は楽しげに笑い
いつしか稜と一刀にも移り三人はひとしきり笑い合う

癖のある性格だが何故か気の合う三人で結成された生徒会
学生らしく青春を謳歌する彼らは誰もが認める仲良しなのだった
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