小説

□金曜日。
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駅の、二番ホーム。いつもルーシィとレビィが電車に乗る場所だ。周りは、通勤・通学の人たちが眠そうにあくびをしていた。これが、いつもの日常。


8:07。ガタンゴトン、という音と共に、電車がやって来た。
ドアが開いた所で、向かい側の席に座っている桜髪の少年、ナツと目が合った。
(何だろう?)
と思ったが、まぁいっか、となった。
(何か、きっかけがあればいいのに…。やっぱ恥ずかしいな。)
制服同じでしかも同学年らしいが、クラスは違っていて、話したことさえなかった。赤の他人だし、いきなり挨拶も変かな、とルーシィは思った。







学校の昼休み。ルーシィは、1人暇をもて余していた。
(暇だなぁ。っていうか、挨拶って、どう言えばいいんだろ?)
「おはよう…オッス…グッモーニン…ごきげんよう…?」
ルーシィは、人目も気にせず練習した。
(前向きに、前向きに…)
「おはよう…。…はぁ、金曜日かぁ。」
頑張らないと、とルーシィは張り切った。
(だって、2日会えないしね。)
会う、といっても、見掛けるくらいで止まっているが。
「ハートフィリアさん。」
ふと、先生に呼ばれた。
「何ですか?先生。」
先生の所まで行くと、先生はなにやらクラス分の紙を持っていて、この紙を隣のクラスの学級委員どっちかに渡して欲しい、と言った。
「先生、今ちょっと忙しくてね、お願い出来る?」
「別にいいですよ。」
ルーシィが頷くと、先生はお願いね、と言って次の仕事に取り掛かった。

「失礼しまーす。」
ガララッと隣のクラスのドアを開けると、盛り上がっている連中がいて、その中にはナツがいた。ついじっと見てしまいそうになったが、そこは抑えて学級委員を探す。前に朝会があったとき、点呼を取っているのを見て、顔は大体覚えていたのだが、学級委員は二人ともいなかった。
しかしそのクラスの担任であろう人がいて、とりあえずその先生にあずけた。

クラスを出る前に、ふと盛り上がっている連中が気になり、振り返るとナツはからかわれていたようで怒りながらも笑っていた。
笑っている彼を見たら、元気が出てきた気がした。
(恋だって、)
「…頑張んないとね。」
そっと声に出てしまっていた。
ルーシィは、バッと口に手を当て、
(聴かれてないよね?)
と、周りをキョロキョロした。
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