小説

□金曜日。
1ページ/4ページ

ピピピピッピピピピッ…カチッ
「ふわぁ…」
朝、6:30。ルーシィがいつも起きる時間だ。
「プーン。」
「あ、おはよ、プルー。」
ルーシィは、独り暮らしだ。もとはお嬢様で、箱入り娘。学校には通わず、お屋敷で父、使用人と共に暮らしていたが、そんな生活が嫌になり、家出をしたのが一ヶ月程前。今は、真っ白い子犬のプルーと暮らしている。
「さて、ご飯作ろ。」




「いっただきまーす。」
「ププーン。」
ルーシィはサラダに目玉焼きに食パン、プルーはペロペロキャンディだった。
「うん、我ながら美味しいわ!ね、プルー。」
「プーン!」



**
「ごちそうさま!」
「ププーン!」
「さて、着替えて髪結ぼっと。」
現在、7:10。ルーシィが学校に出掛ける時間まで、あと45分。ルーシィは高校二年生。今日で学校生活は22日目。元々明るい性格で人見知りではなかった為か、すぐにクラスの半数人くらいと仲良くなった。親友という、今までになかった子も出来、毎日行き帰りを共にしている。親友の名は、レビィ。お互いに、レビィちゃん、ルーちゃん、と呼び合っている。
ルーシィとレビィの家は偶々近く、同じ駅のホームで8:00に待ち合わせをしている。
レビィとおしゃべりしながらの通学も楽しいが、ルーシィにはもうひとつの楽しみがあった。それは…
「よし、やっぱ今日も可愛いわね、あたし。」
ルーシィは、髪型を整えて自画自賛していた。
「今日も、会えるといいなぁ。」
(出来れば、金曜日だし、頑張って挨拶したいな…。)
楽しみとは、電車に乗るとき、いつも向かい側の席に座っている桜髪の少年だ。同じ学校の制服だったので、少し気になってレビィに聞くと、ナツという名前らしい。
目付きが鋭く、ちょっと悪っぽい感じだったが、ルーシィはその少年、ナツに一目惚れをした。

時刻は7:50。出て行く時間は、少し早いがのんびり歩けば良いだろう、とルーシィはカバンを持った。
「じゃ、行ってくるね、プルー。」
「プーン!」




**
「うーん、いい天気。」
ルーシィは、家から駅までの道にある、運河の堀の上をのんびりと歩いていた。
「おじょーちゃん、危ないぞー。」
「落っこちないようにねー。」
「大丈夫でーす!」
船上のおじさんと挨拶をし、しばらくして堀の上からトンッと降りた。駅はもう目の前だ。
待ち合わせの時間まで、あと3分。
少々はやいが、早くて悪いことはないだろう。




8:00より少し前に、レビィがやって来た。
「ごめーん、ルーちゃん、遅かったかな?」
「ううん、大丈夫よ。今日はちょっと早めに出ちゃったから。」
そっかぁと言って、レビィは笑った。
次へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ