月明かりを嫌う

□相似条件
5ページ/12ページ

雷蔵くんと滝夜叉丸くんが目に見えて残念そうにしてくれる。

うわあ……ヤバイ。嬉しい。

そして可愛い!
弟がいたらこんな感じだろうか?
それにしても癒し系多いな、ここ。

喜八郎くんは無表情だったがこちらをじっと見ていて、対して三郎くんはにこやかだ。

「私はゆうさんだけの特別担任という事なんで、多分明石村でも会えると思います」

「えーっ!?」

雷蔵くんと滝夜叉丸くんの悲鳴が重なる。

「明石村へは忍たまは行けないって聞きましたけど」

喜八郎くんが問うと、三郎くんはまあねと笑ったが、ちゃんと答えはしなかった。

「でも三郎、授業はどうするの?
もし進級できなくなったら……」

「私を誰だと思ってるんだよ、雷蔵」

再び笑って、三郎くんははぐらかす。


しかし化粧を教えるのが三郎くん……て事は。

変装の術絡みの化粧かな?

オリエンテーリングで私にしてくれた化粧は伝子さんからも絶賛されていたし。

化粧の施し方一つで、ともすれば別人に見えるくらい、印象を変えることが可能だと三郎くんは言っていた。

とすれば、そのやり方も教えてくれるという事だろう。


だけど雷蔵くんが心配した通り、私のせいで三郎くんの勉学に支障が出るのはいただけない。


「ありがとう。でも三郎くん、忍術学園での勉強は本当にどうするの?
私が明石村へいるのは一年のうち半分以上だよ?
休暇もあるらしいけど、それ含めたらもっと……あ、もしかして」

「私を誰だと思ってるんですか、先輩」

三郎くんはほんの少し意地悪く微笑んだ。

「別に休暇返上なんてしませんよ」

なんて三郎くんはすまして言ったけど、こりゃ、休暇返上するつもりだな。

私の為に……言い尽くせない良い子だ。
三郎くんには何だか甘えてしまう。
私への授業も、少しくらい三郎くんの為になるだろうと都合よく考えて、私はそれ以上口に出さなかった。


「で、何で私が先輩なの?」

「え? 今さらその疑問ですか?
年上、つまり人生の先輩だからですよ」

三郎くんの答えを聞きながら食堂へ入る。

直後に「ゆう!」と呼びかけられ背後を振り向くと、小平太くんと彦太さんが立っていた。
次へ
前へ

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ