月明かりを嫌う
□15歳の怪と忍術学園
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あの衝撃の事件から少しして、外が暮れ始めた頃に私を助けてくれた忍者……小助さんが、疲れた様子で帰ってきた。
私はまだショックからのボウ然を引きずっていて、焦点も合わないし、何となく顔を見るのが億劫で土下座しながら自己紹介とお礼を述べた。
顔を上げてなんて温かい声で言われたけど、無理だ。
異世界に迷い込んだのだと一度納得してしまえば……
帰れない可能性が高いと気付いてしまった今、余計にここの世界の住人である彼らを受け入れられない。
どうしよう、どうしよう、どうしよう……
解決策を模索しても、『どうしよう』しか浮かばない。
私の欠点の一つ。かなりのビビリ。
それがこんな事態にもちゃんと機能している。
そしてまだある欠点の別の一つも、しっかり働いてくれて、私を更にどん底に突き落とした。
私は“あらゆる面において”敏感体質だ。
痛覚を始めとする神経系が敏感で、匂いや味では判別出来ない、他の誰もが気付かなかった食品の傷みに気付いて一人だけ腹下しを起こさなかったり、(ちなみに周りに話してもたいがい信じてもらえない)病気の超早期発見で難を免れた事もあった。(医者が驚いていた)
その代わり風邪なんか引いた日には、血液検査の異常数値は肺炎患者より跳ね上がり、強制入院になるほど悪化したりする。迷惑な体質だ。
その面倒な体質を代償に得たものと言っては何だが……
私には、その人の様子や雰囲気から、ある程度の真偽が判断出来てしまうのだ。