月明かりを嫌う

□出会い
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夜更けに寄り合いのあった日の、朝。

目覚めた私は、記憶が混乱していると嘘をつき、千代さんに教わりながら身仕度を整えた。

そこで確信した。
やっぱり忍たまの世界は、現代と昔とが混ざりあっているようだ。

基本は昔。でも細かな所で都合よく現代を見かける。

洗濯機はないけど、洗剤はある。

洋服はないけど、サングラスがある。

ネットは無いけど、何と通販がある。
電話は無いようだから、手紙でのやり取りなのかな。

基本は井戸のようだけど、ある所には水道も蛇口もあるらしい。


これなら、私でも教われば何とか生きていけるかも知れない。

帰る方法は勿論探すけど、忍術学園の生徒だと言い切った以上、いつまでも無知でいるのは危険だ。

この世界にどれだけいるのか分からないが、それまでは確実に明石村か学園に身を寄せる事になりそうだった。


背中まで伸びた髪を結い紐で結ってみる。

改めて、若返ったんだなと実感する。


山を歩いていた時は気付かなかった。
そう言えば、汗と空腹のせいにしても服がゆるかったな。

本当の年齢の私は髪は肩下辺りまでだ。

背中まで伸びていたのは今までで一度きり、15歳の時しかない。

加えて体感ではあまり身長が変わっていないように思える事と(私の背は16歳の時には止まっていた)、少しだけ痩せている事から、恐らく15歳の体なのだろう。

顔も、まさしく昔の写真を見ているようで懐かしく、少し幼い。
肌なんか恐ろしく綺麗だ。
筋力は無いけど体力が上がっている。


気付いた時には不気味すぎて失神するかと思ったけど、ここに来て初めてのラッキー体験だ。
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