月明かりを嫌う

□見破ったのはあの人この人
1ページ/13ページ



そうか、これは『サバイバル』だった。


私たちが出発したのはだいぶ後だったとは言え、二日間に渡る競技。
すぐ側に救護所はあるものの、元の世界では虫にビビってキャンプも出来なかった私がいたんじゃ足手まといになるんじゃないかと心配だったが、そんな事はなかった。

何故なら一番早い組は、日が暮れる前にはやって来たからだ。


みんなと一緒に挨拶をする。

「いらっしゃ、いっ!?」

私だけ語尾が上ずってしまった。

幸い、「あ〜ら、早かったのね」と言う伝子さんに気を取られて、二人とも気付かなかった。


そして、伝子さんが設置した立て札に貼られた案内を読む。

「なになに……『本物が渡す団子を食べれば最終地点クリア。見破れなければアウトで脱落。伝子の団子はクリア可能』……か」

六年生が涼しい顔で読んでいるが、格好は全然、全っ然涼しくないっ!

隣の紺色の装束を着た五年生は、ふうっと息をつきながら額の汗を拭っている。

いや、他に拭うのがあるだろ!
そこの赤いのとか、あっちもそっちもこっちもっ!

そうか……サバイバルだったんだな……

満身創痍の二人を見て固まる私に、すずちゃんが耳打ちしてきた。

「フフフ、先輩たち、同級生の本気の妨害にあったみたいね。
でもくじは仕組まれみたいだけど六年生と五年生をペアにしたら勝負にならないのに、学園長先生はほんと気まぐれなんだから」

そう言えば、遠くから爆発音が聴こえるなあとは思った。
私の地獄耳をもってしなくても普通に分かるくらいの大きさで。


はなちゃんがすずちゃんに異を唱える。

「そうでもないみたい。ほら見てよ」

二人ともあっさり伝子さんをスルーしたけど、ここに思い思いに座ったり立ったりしている四人の『私』を見て本気で悩んでいる。
次へ

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ