月明かりを嫌う

□望んだもの
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Noside


オリエンテーリングが終わり、生徒たちが怪我の手当てや汗を流し終わって、夕食も大方済んだのは夜も遅い頃。

消灯時間を過ぎて、廊下を曲がった先にある離れの学園長の部屋に、八人の忍たまが集められていた。

上位5組までのメンバーだ。

教科・実技内容について希望を叶えるというご褒美を、学園長は考えていた。

強制参加させた小助と彦太は客人なので、二人は今ここにいない。


集まった、五年生から一年生までの忍たまたち。

ここにいるのは小豆を引き当てた組だが、普通にクリアした生徒にもちょっとしたご褒美を用意している。

だがその、普通にクリアの組の中に六年生がいない。

偽装の為の数人しか参加しなかったとはいえ、六年生にもなって脱落とは何事だ。


ともかくここに集まった、幸運も味方した優秀な八人のうち、半分は三年生だ。

一年生が二人、二年生が一人。

五年生はたった一人。


学園長は緊張した面持ちの八人を前に、穏やかに笑った。


「ご苦労じゃったの。みな、よくがんばった。先生方から聞いておる。
忍術からはちと外れた評価もあるにはあるが、見事じゃったぞ」

「はいっ、ありがとうございます!」

五年生の中野宗一郎が代表して答えた。

学園長は、三年生の、特に立花仙蔵から何やら不穏な視線を感じつつ、本題を持ちかける。

「して、ご褒美の件じゃが」

予想通り、誰よりも早く仙蔵が声を上げた。


「私たち三年生は既に話し合っており、みな同じものを希望しています」

「それは何じゃ?」

「明石村へ定期的に校外学習へ行く機会を頂きたいのです」

中野がハッとして仙蔵を振り返る。
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