月明かりを嫌う
□15歳の怪と忍術学園
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子供の頃は無知で、それを隠すという頭がなく、自分の心に従って生きていた。
だから、みんなが気付かないのに異変を察知して心配の声をかけると「何で分かるの」なんて気味悪がられ。
嘘をつかれたので指摘すると、「ゆうちゃんは人間じゃないよ! 嘘発見器だよ!」と泣かせてしまった事多数。
大人もびっくりするくらい色んな事に気付くので、やっかみも耳が腐る程言われた。
『ゆうちゃんは何でも分かってるって得意気にしてるけど、みんなだってとっくに分かってて、それでも言わなかっただけなんだから!』
と、大体こんなような事を色んな子が顔を真っ赤にして怒鳴ってきた。
得意気になった事なんてただの一度もないけど、要するに私はただ空気が読めないだけ、という事らしい。
昔は悲しかったが、今は気付いても知らないフリをして、当たり障りなく人と付き合うようにしている。
……でも。今回は。
知らないフリは出来ない。
私は土下座をやめたが、顔は頑なに上げないまま、小助さんに向かって呟いた。
「私、殺されてしまうんですか」
形容するなら、ギクッという所だろう。
小助さんが纏う空気が僅かにたじろいだ。
シン、と辺りに静寂が訪れる。
いつまでも返答しない小助さんに、千代さんがまさかと呟いて食ってかかる。
「小助? まさか、そんな話になってるのかい?」
それでも、小助さんはしばらく黙っていた。