月明かりを嫌う

□出会い
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質素だが美味しい朝食を頂いた後。

私の着ていた洋服一式を(ボロボロのストッキングと靴まで)丁寧に風呂敷に包む千代さんを、私は縁側に座って眺めていた。

村のみんなには、学園の支給品だからと言って、見せなかった。
多分、現物をいつまでも晒していると南蛮の物だとしても珍妙過ぎる事に気付かれてしまう。

忍術学園に返すと言って持ち出し、隠すか何かした方が良い気がしたのだ。


明日、私は小助さんと彦太さんと連れ立って、忍術学園へと向かう。

一日足らずで行けるということだが、筋肉痛は覚悟しておこう。

ていうか何で彦太さん来るんだ。
予想はしてたけどさぁ。
あの人かあぁ。マジかあぁ。



「ゆう、お前本当はどこから来たんだ?」

「うえぇ、おわっ!?」


千代さんに教わって、洗濯の真っ最中だった私は、突然の背後からの声に飛び上がった。

奇声を発してしまった。
恥ずかしさで気絶出来そう。


「えっと……はい?」

後ろに立つ小助さんを首だけ捻って見上げる。

「どこから来たのかと思って」

「……分からない、です……」

嘘は言っていない。

本当に分からないのだ。
確かに言えることは、九州の空港までは元の世界だったということ。

そして元の世界はこの世界の未来じゃないから、時を超えてきたとも言いがたい。

異世界なんて、どう説明していいか分からないし。

小助さんはふっと息をつき、私の側にかがんだ。


「なってない。こうやるんだ」


洗濯物を取られてしまったが、それどころじゃない。

近い!

急接近にビクリと肩が揺れ、心臓がひっくり返った。
みるみる顔が熱くなる。

私の欠点の一。すぐ上がって赤面する。


そんな私を見た小助さんは、目を丸くした。
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