表の顔

□冴
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

むぎゅっと愛しき胸板に抱きつく

寂しさを紛らわせたかったのか はたまた愛しさが溢れたからなのか


でもそれはどちらでも良かった


その胸に抱きついたら 痛みなんて忘れられる気がしたから


「ん…」

もぞもぞっとして しまった と思い 焦った

「(起きてない…セーフ…)」


25年もの間 私がどれだけ彼を欲したか
どれだけ会いたかったか
どれだけ 泣いたか

まぶたを閉じて眠っているのに 眉間には少しの皺がよっている

そっとその皺に手を伸ばしアイロンをかける

すーっと伸びて皺がなくなり むふっと笑ってしまった

意外と長い睫毛や整った顔立ち
優しさが溢れ出ている彼の雰囲気に愛しさがこみ上げ彼の頬を優しく撫でる

ちゅっ
と優しく口づけをしまた彼の胸へぎゅーっと抱きついた

すると強く抱き締められた

はっと思い彼の顔を見上げると 綺麗な双眼と目が合った

「起こしちゃいましたか…?」

「なんや偉い別嬪に口付けされてお姫様気分で目覚めてもうたわ」

くすくすと笑う彼に私が王子〜?など小さな悪態をつくと彼は小さくふと笑って

「…りお、」

急に真面目な声で名前を呼ぶから 不意にどきどきした


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