表の顔
□真
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ふらふらと 覚束無い足取りで何処かのホテルの高い屋上へと足を踏み入れた
何度か来たことのあるこの場所は 何だかとても落ち着く静けさがあった
鉄格子の反対側へ降りるといつもの様にその場へ座り夜空を眺める
「きれい…」
神室町の方は街が明るすぎて 星の輝きなんか一つもわからない
だけど こんな名も知らないマンションの屋上だと 億千の星が頑張ってキラキラと輝いているのが分かる
私の価値も それ程薄れて存在価値がない気がしてくる
ぎゅっと膝を抱き声を押し殺して泣いた
たくさんたくさん 泣いた
「明日…目が腫れちゃうや…」
もう1度 空を見上げる
星は輝いて その存在を示しているのに
私はどうしてこんなところで泣いているのか
私の悩みなんてちっぽけなものに変わる