拍手お礼

□藤と山姥切国広
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「兄弟!」


「これは・・・?」


「あの襤褸の代わりです。白色はないので必然的に黒になるんですけど」


走ること数分。私が兄弟に持ってきて渡したのは、黒色のロングパーカーだ。しかもチャック式ではなく、ボタン式だから比較的着やすいタイプである。

この間ネットで買ったんだよねぇ。まさかこんな所で使うことになろうとは。


「着ますか?」


「着る」


私の言葉に即答した兄弟は、絶対に脱がないと纏っていた襤褸を大胆に投げ捨て、ロングパーカーを羽織りフードまでしっかり被る。
・・・何というか、色が黒の所為か闇堕ち感が半端じゃない。漂う雰囲気が妖しかった。
心なしか少しだけ私の顔が引き攣ったのが自分でも分かった。


「兄弟?どうしたんだ?」


「・・・いえ、何でもありませんよ。それより布を姫の元に持っていきましょうか」


「そうだな」


彼はそれだけ言うと、私の手を取って審神者さんの部屋の方向へ足を進め始める。身長差がそれなりにあるので、もしかしたら周りからは引き摺られているように見えるかもしれない。
私は慌てて声をかけた。


「兄弟、あの・・・!」


「すまない、痛かったか?」


「そういうわけでは」


「そうか。次は気を付ける」


兄弟は手の力を抜いて繋ぎ直した。しかも何故か指と指が絡まるように・・・ってあれ?これって所謂恋人繋ぎとか言うやつでは?

【速報】兄弟はやっぱりイケメンだった

頭の中でそんな言葉がよぎる。しかしこんなにナチュラルに恋人繋ぎをしてくるとは、流石イケメンである。

そんな混乱した頭ではどうすることも出来ず、私はただただ兄弟と一緒に歩くのであった。



◇◆◇


その後は審神者さんに「凄い!!」と褒められたり、本丸の全員に恋人繋ぎを生温かい目で見られたり、黒色のパーカーのお蔭で兄弟の隠蔽と偵察が異常なくらい跳ね上がったりしたが、それとこれとはまた別の話である。


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