企画(お話)

□2018年バレンタイン
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私たちは、そんな外の様子など露知らずお菓子作りに没頭していた。
ちなみに審神者さんはようやくクッキーの型抜きに入ったところである。幼稚園の粘土遊びみたい!と彼女は上機嫌だった。
審神者さんが失敗をしてしまわないように定期的に見守り、手助けをしながらも私は私でお菓子を作っていた。

何のお菓子?
抹茶のシフォンケーキとマカロンです。チョコレートじゃなくてすみません。
でもチョコばっかりだとやっぱり飽きちゃうかもしれないし、審神者さんが大量にクッキーを作ってくれているので、これくらいでいいのかもしれない。と思いました。


二人でお菓子作りをすること1時間とちょっと。完成が近いのか、キッチンに甘い香りが充満していた。


「んん〜!美味しそう!!」


「ふふっ、完成が楽しみですね?」


「うん!そうだね」


みんな喜んでくれるかなぁ〜、とワクワクが隠し切れない審神者さんはとても可愛らしかった。・・・やっぱり女の子なんだなぁ。
楽しそうな審神者さんを見ていると、気が付けばこっちまで楽しくなっていた。



――――――――――


さて、時間はあっという間に飛んでその日の夜。
いつもよりちょっと豪華な晩ご飯と、審神者さんが一人一人に作ったクッキーを手渡ししていた。感謝の言葉つきで。
そう皆さんお察しの通りだ。

部屋が、桜まみれに、なりました。

そんな非常事態も起こりながらも、夜という時間はゆっくりと更けて行く。
今日はちょっと大変だったけど、凄く楽しかったなぁ。なんて考えながら片付けをしていると、後ろから声をかけられた。


「藤、お疲れ」


「おや、清光ではありませんか。お疲れ様です。何かありましたか?」


「んーっと、俺ちょっと藤に用事があるんだよねぇ。・・・今、大丈夫?」


「? ええ。少しでしたら問題ありませんよ」


「そっか。だったら今これ渡しちゃおっかな」


彼はそう言うと、綺麗にラッピングされた箱を私に手渡す。
・・・驚いて清光と箱を二度見した。


「え、えっ!!?これ・・・」


「いっつも頑張ってる藤にプレゼントってね。あ、主にのところには乱がちゃーんと渡してるはずだから、安心して」


「そう、ですか」


「どう?ビックリしたでしょ?」


「えぇ。驚きました。ありがとうございます!」


「どういたしまして。・・・ねぇ藤、開けてみてよ」


「あ、はい」


清光に催促され、ラッピングのリボンを慎重に外し、包装紙も出来るだけ綺麗に外す。
ドキドキしながら箱を開けると、そこには水色の写真用フレームが貝殻で飾られていた。
中には既に写真が入っており、それは堀川派の兄弟たちと私が一緒に写っている写真であった。


「これは・・・・・・。清光、本当にありがとうございます。とても、嬉しいです」


気を抜けば涙が出るのではないかと思った。私はそれくらい感動していた。頭上で誉桜がひらりと舞う。


「それなら良かった」


清光がとろけそうな笑顔を浮かべたのが見えた。




_

〜ちょっと補足〜
藤へのプレゼントと審神者さんへのプレゼントは、本丸の皆でお金を出して買ったものです。
ちなみにフレームにくっついている貝殻は短刀ちゃんたちが飾ってくれて、中に入っている写真は堀川派が揃ったときに審神者さんが撮影してくれたものだったりします。

審神者さんへのプレゼント?そこは皆様の想像でOK。
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