小説
□第1話 -出会いと始まり-
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校門をくぐると、人がたくさん群がっている体育館があった。
流石私立というか、人の多さにドキッとしてしまった。
知り合いに会ったらどうしようか、という不安ばかりが俺の中に募る。
入り口に突っ立っていても仕方がないと思った俺は、体育館の前の人混みの一部になろうとした、そのとき。
ドンッ、背中に軽い衝撃がやってきた。
振り返ってみるとそこには、背が低く、髪の短い女の子がいた。
「わぁ、ご…ごめんなさい。慌てていて...。本当にごめんね。」
シワひとつない綺麗な制服なので、おそらく俺と同じ一年生なのだろう。
返事を待たぬまま、彼女はそそくさと体育館の中に入っていった。
俺はしばらく彼女を見つめ、少ししてからまた目的地を目指した。
やはり、こんなにも人が多くては俺にとっては苦痛でしかない。
入学式なので、中には親とくるやつがいるようだが、俺の親は来ない。
別に来てほしいのではない。
元々家から高校までが遠いため、2LKのマンションを借りていた。
両親の仕事の都合上、長い距離を移動して来れないのだ。