短編集

□ぬくもり
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『……麻樹さん??』


試合が終わり、家に着いたのは24時過ぎ。

そこからシャワーを浴びて、リビングで一息つこうと冷蔵庫から水を出そうとした時、後ろから誰かに抱きつかれた。

もしやと思い、ゆっくりと顔だけ後ろを向くと、案の定そこにはとっくに寝ている筈の麻樹さんがくっついていた。

顔は下を向いていて分からないけど、きっと今まで寝てたんだろう。

ちょっと頭に寝癖がついてる。笑


『ただいま。』


「……おかえり。」


小さな声だった。よほど眠いんだろうなぁ。

いつもだったら寝ているのに、今日は珍しい。

何かあったのだろうか…。


『起きてくるなんて珍しい。何かあったの??』


「……トイレ。」


『……あ、そうゆうこと。笑』


どうやら、心配しなくても良かったみたい。

そうゆうことね、それで起きたのね。笑

何だが心配して損した気分。笑


「まだ起きてるの?」


『もう一息ついてから、寝ようかなーって思ってたとこ。』


寝起きのせいか、声がどことなく可愛い。

話すスピードもゆっくりで、いつもと雰囲気が変わって違う。


「んー…。」


そう言う麻樹さんは、頭を俺の背中にくっつける。

……いやいや、いくら眠すぎだからってここで寝る!?

明らかに怪しい。

この場から全然動かないし、まともに返事出来てないし。


『こらこら、俺の背中でちゃっかり寝ようとしないのー。ちゃんとベッドで寝なきゃ風邪引くよ?』


引き離そうと試みるが、がっちりとホールドされてなかなか手が取れない。


「大地と一緒に寝るもん……。」


『……へ?』


そりゃそうか。

こうやって2人で会話できるのも、久しぶりだもんなぁ。

なかなか時間も合わないし。

麻樹さんも毎日一人な訳だし…。

寂しい思いばっかさせてるもんなぁ。

そう考えたら、やっぱり申し訳ない気持ちが出てきて、でもそれ以上に思ったのは今の麻樹さんが可愛い。

可愛すぎる。

俺は引き離そうとする手を止めて、代わりに冷蔵庫を閉じた。

そして…


『分かった。俺も今から寝る。久し振りに一緒に寝よっか?』


そう言うと、麻樹さんは手を離してくれて、待ってましたとばかりにぱあっと嬉しそうな笑顔を下から覗かせた。

まるで子供のようだ。


「うん。」


俺は体を反転させ、今度は俺が麻樹さんを抱きしめる。

…うん、俺の大好きな匂いだ。


『……ほんっと、可愛いなぁ。』


麻樹さんを体いっぱいに感じれる。

今日も一日、頑張って良かったなって思える瞬間だ。


「大地の匂いだー。」


えへへと笑う。

…反則だ。

思わずその笑顔を見て顔が赤くなるのが自分で分かった。


『そうですよー。大地ですよー。』


俺は照れ隠しにと、顔を見られないように麻樹さんの手を取って寝室へ移動した。

小さな手。

久し振りに触れた、麻樹さんの手。

少し冷たくて、暖めようとぎゅっと握る。


「……大地が来るとやっぱりあったかい。」


同じベッドに入ると、麻樹さんはすぐにひっついてきた。

俺はそれを受け入れて、またぎゅっと抱きしめる。


『俺も麻樹さんがいるからあったかい。』


そう言うと、またえへへ。と笑った麻樹さん。

幸せな時間だ。

この時間が止まれば良いのに。何度も思う。


「眠い…おやすみ。」


……自由な人だ、ほんとに。

でもまぁ、そんなところに俺は惚れたんだろうな。

幸せそうな顔で眠りにつく麻樹さん。

もしこれが将来もずっと見れれば…なんて、淡い思いを抱いて俺も段々と重たくなってきた瞼を閉じた。


『大好きだよ…。』


きっと今日は、良い夢が見れそうだ。













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約1ヶ月ぶりの更新です。
更新できてなくてすいません。。。

そして初の大瀬良君夢。
眠たい時に思いついたものです。
年上彼女がお似合いな大瀬良君、可愛いなぁほんと。笑

何か寝起きの福井さん夢の逆パターンになった気がする…笑

私は寝起き、寝る前のイチャイチャが大好きなのです…!!笑


2017.01.31


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