短編集
□シアワセ
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ピピピピッ…
「………ん。」
目覚ましの音で目が覚め、重たい瞼をゆっくりと開く。
なっている時計を探し、何とか手を伸ばしてアラームを止めようとした。
が、それより前に、目覚まし時計に手が伸びたのはすぐ隣で眠っていた福井さんの手だった。
福井さんが起きるなんて珍しい…なんて思って見ていたら、何とも不機嫌そうな声で一言。
『……まだ6時じゃん。』
もっと寝かせてよ、と不機嫌そう。
それはそうだ、今日は久しぶりのオフ。
体は疲れ切っているし、こうゆう日にこそしっかりと体を休めさせなければいけない。
しまった、目覚ましセットするんじゃなかったなぁ…。
申し訳ないと思いながらも、寝起きの福井さんの顔が何とも無防備で可愛くて、つい笑いがこみ上げてきた。
『なに、笑っとるの。』
「眠たそうに話す福井さん、可愛いなぁ。って笑」
『………うるさい。』
朝起きて、直ぐ目の前にいる福井さん。
あー、独り占めってこうゆうことなのかな。
何だか凄く嬉しくて幸せで、自然と顔が緩む。
『もぅちょっと…寝させて。』
すると珍しい。
福井さんから抱きついてきた。
ぎゅっと抱きしめられ、福井さんの温もりを肌で感じる。
厚い胸板、逞しい腕。
大好きな福井さん。
甘えたですね。って言おうとしたけれど、言うときっといつもみたいに不機嫌な顔をして「そんなことない。」って怒るだろうから、なにも言わない代わりに私もぎゅっと福井さんの背中に手を回した。
幸せって、こうゆうことなんだね。
私が腕を回して、ちょっと満足そうな顔をした福井さん。
そして直ぐに、規則正しい寝息が頭の上から聞こえた。
福井さんは今、幸せなのかなー?なんて思っていると、私も段々と眠たくなってきて、そのまま再び眠りについた。
こんな幸せな朝も、たまには良いなぁなんて思いながら過ごした、とあるオフの朝。