短編集
□確信
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『……あー気持ち悪い。』
試合が終わり、家に帰った途端、どっと疲労と吐き気がきた。
一昨日ぐらいから体が怠く、でも支障はあまり無かったから試合に出ていたけれど、今日の試合でフル出場したら、それが決定打になり案の定体調が悪化した。
唯一の救いが、明日はオフだからチームに知られることは無さそう。
薬飲んどけば良かったなぁなんて、今更思っても遅いし。
『……最悪。』
とりあえず熱があるか計ってみたら、何とびっくり38.5度。
完全に風邪だ。
とにかく寝ようとパジャマに着替え、最低限の事は済ませてすぐにベットイン。
冷えピタも無いし、薬は何とかあったから飲んだけど、何か食べないといけないと思っても吐く自信しかなく、何も食べれない。
『……怒られそうだなぁ。』
頭に思い浮かんだのは、風邪ひいた事を知って怒るであろうチームメイトの顔。
……と、その時だった。
♫〜♫〜♫
携帯の着信音が鳴った。
重い体を動かして、誰だろうとベット横の机の上に置いていた携帯のディスプレイを見ると、そこには何と『福井さん』という文字が。
タイムリーすぎる。
出たくないけれど、出なかったら出なかったで面倒臭い。
仕方なく、布団に入ったまま出ることに。
『……もしもし。』
11「おぅ、俺やけど。お疲れさん……寝とった?」
少し間があって、福井さんの拍子抜けた声が聞こえた。
『すいません、ちょっと体調悪くなっちゃって…。」
11「何だそれ、熱は?」
『38.5度。』
これを言った途端、奥から福井さんの盛大なため息が聞こえた。
あー怒ってる。怒ってるよ、福井さん。
怒られる事を確信した。
11「……お前さぁ、もうちょっと自己管理しっかりしろ。ガキかお前は。」
『すいません…。』
11「まだ今日がデーゲームで明日がオフだから良かった。治せ。」
『……はい。』
『……とりあえず、今日と明日しっかり寝ます。』
熱と眠気で頭がはっきりしておらず、福井さんとの会話もしっかりできているかも分からない。
とりあえずはいはい。と返事だけしておいて、とにかく早く寝かせてほしい思いでいた。
飯は食べたのかだとか、薬はだとか色々聞かれた気がするけれど、まぁいいや。
私はいくつか福井さんと(適当に)会話して、通話取り消しボタンを押し、そのまま眠りに落ちた。
その時私は全く知らなかった。
この後、何が起こるかなんてー……。