短編集

□ゆめみたいな
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『うぇ……??』


4「お前その顔、すんげぇ不細工だぞ。」


『……え、いや、だって、わっ、私が、ふっ、ふじたっ、さんと………。』


試合中、突然監督に守備固めに入って欲しいと言われ、それは何と藤田さんと二遊間を組むという事だった。

今のチームが怪我人が多い事もあり、人がいないのは分かっているけれど、まさか自分が藤田さんと二遊間を組めるなんて、夢のまた夢だった事で……。


37「あはは、そんなに緊張しなくても大丈夫だよ。藤田さんはちゃんとカバーしてくれるから。」


『いやいやいや、緊張で震えと吐き気が止まらないです。私なんかがあの藤田さんと二遊間組むなんてしかもあの藤田さんがショートなんておこがまし過ぎてセカンド務まりません恥ずかしくて死んじゃう。』


37「麻樹焦りすぎ(笑)。てか最後の本音ダダ漏れだよ?」


『うーー…不安で仕方ない。エラーしたらどうしよう、うまくトス出来なかったらどうしよう。』


4「いやいや、念願の藤田さんだろ??」


『そうだけども…いざそうなると、緊張する……。』


37「はい深呼吸!すってーー。はいてーー。」


ぽんぽん


37「ほら、麻樹なら大丈夫だって。自信持って!」


そう言って、嶋さんは私の右手を両手で包みこんでエールをくれた。

そんな姿に少しキュンとしながらも、あぁやっぱり、嶋さんはお母さんだ。なんて思いながらも、少し気持ちが楽になる。


6「麻樹、サイン合わせしたいけど良いか??」


『わっ、あっ……はいっ!!』


6「…何やお前、顔赤いけど調子悪いんか?」


『いやっ、そっ、そんな事ないですっ!暑いだけ、暑いだけです!!!』


6「ならええけど。…とりあえず際どいのはカバー行くから、麻樹のペースで守ればええで。」


ぽんぽん


『っ////……足引っ張らないように頑張ります。』


6「おう。麻樹と組むの初めてやもんな、よし行くか!」


37「藤田さーん、あんまり麻樹虐めちゃダメですよ?」


4「あっはっは、麻樹顔真っ赤〜。」


『〜〜〜〜っ!!(藤田さんに頭撫でられた!??もう幸せ過ぎて倒れそう!!てか豪郎煩い!後から覚えてろ!!)』









--試合後--

4「何やかんや、すげー楽しそうにやってたじゃん。」


『いやもうね、緊張し過ぎてハイになってた。隣に藤田さんだよ?ゲッツーの時なんて、当たり前だけど藤田さんがベースで私のボール待っててくれたんだよ??もう幸せ過ぎて、死んでも良いと何度も思った。』


4「……(なになに、普通の恋する女子じゃん麻樹可愛い)。」








37「麻樹、藤田さんと組むって聞いた時、緊張し過ぎて固まってましたからね?」


6「そうなん?その割には、普通にゲッツー取れたし大丈夫そうやったけどな?」


37「途中から楽しそうにプレーしてましたからね。」


6「それそれ。隣で見とって、ピッチャーが麻樹がバックにおると気が楽になるってのが分かる気がするわ。」


37「あ、そう言えば麻樹って、藤田さんと二遊間組めて夢みたいって言ってましたよ。笑」


6「何それ、可愛い事言ってくれるじゃんか。飯でも奢ってやるか。」


37「麻樹ほんと、藤田さんのこと大好きですからねー。笑」


6「おーい麻樹〜〜、今日これから飯行くか??」


37「……って、藤田さんも麻樹のこと大好きか。笑」

















藤田プロ、大好きです。





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