コミュ障彼女と警戒彼氏

□やってきたのは、コミュ障少女
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「んっ……。」

この声だけ聞くとまるでキスをされた様に感じるが、決してそうではない。

ただ目覚めただけだ。

もちろん、私がそう言う変な妄想をする人でもない……、と否定したいところだが、一概に否定できない。

なんせ彼是5年近く二次元ヲタクをしてきてる訳だし、それ位は悠にする。



ふと、背中に何かが掛けられている事に気がついた。

これは、赤井さんの……?

返した方が、いいよね。


「あ、あのっ、赤井さん、これ、ありがとうございました。
後、職務中に居眠りなどという……!!」

「ふっ。」

「な、なに笑ってるんですか!?
私別になにもっ!」

「いや、お前を見てると面白くてな。」



私を見てると面白い、って……。

やっぱり赤井さん、失礼(((

なんて上司に対して思ってる私のほうが失礼か。

でも私に失礼って思わせる様な赤井さんが悪いのでは……?



この思考は永遠にループしてしまうので、回線をシャットアウト。

「今日はもう帰っていい。家でゆっくり休め。」

という、赤井さんのお言葉に素直に従い、帰宅する事にした。


駐車場に降り、愛車を探す。

本部の駐車場は無駄に広くて、大変だ。



車を止めた場所を、ブロックナンバーを頼りに歩きながら探し続ける。




淡々と歩きながら私は、両親の事を考えていた。

勿論、今まで育ててきてくれた義父の事では無く、記憶にない本当の両親の事だ。


私は愛されていたのだろうか。


私はちゃんと、愛されてたのかな。
小さいころから、今みたいに一人ぼっちだったのかな。
お父さんとお母さんは優しかったのかな。怖かったのかな。
日本にいる祖父母は、私の事を覚えてるのかな。

そればっかり、心配になる。

亡くなったと聞かされてから、今日で丸10年。


今でも、私の心は記憶のかけらもない両親の事でいっぱいだという事が、酷く不思議に感じられた。



お父さん、お母さん。

私、ちゃんと理想どおりに育ってる?
あなたたちの考えたとおり、いい子になった?
天国から本当に見てくれてる?

私、ちゃんと愛されてた?





今日も私は、一人ぼっちの家に帰る。

そう、心も一人ぼっちな私の家に。
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