コミュ障彼女と警戒彼氏
□全てが終わっていた
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まぶしい光。
白い景色。
目覚めたそこは病院だった。
うっすらと目を開けると、小さい男の子が居た。
「あ、お姉さん起きた??」
「……君は、誰?」
何処かで見た憶えがある、この子。
そう思い問いを投げかけても当然の様に知る名前が返される訳でもなく、その少年はただ私に"仲間が来るから待て"とだけ告げた。
「私と一緒に居た女の人は、どうなったの。」
恐る恐る口に出す。
この質問の答えが、明か暗か、どちらに傾くかは私にはわからなかった。
ただ、明であって欲しい、そう願う。
だけどそんな都合の良い様に物語が進む訳でもなく。
突きつけられた答えは、
「死んだよ、そのお姉さんは。
・・・…伝言を残して、ね。」
少年が"遺言"ではなく"伝言"と言ったのは私への気遣いか。
そんな要らない思案をしながら死を受け入れられない自分の気持ちを誤魔化す。
「目、覚まされたんですね?ちょっと待ってください。
今、看護師さん呼びますから。」
扉を開けて入ってきた、恐らく高校生くらいの女の子。
「あ、そうだ。
コナンくん、さっきの、えーと、なんて人だっけ……?」
「ジェイムズさん?」
「そうそう!連絡入れてきてくれない?
お仕事忙しいみたいで、一回帰られるって言ってたから。」
ああ、もうそっちまで連絡行ってるんだ……。
まぁ、それもそうか。
都内で組織が顔出すんだもん。知ってるか。
むっくりと体を起こし、少年に自分で掛ける、そう声を掛けようとした。
だけど、声が掛けられなかった。
声じゃなくて、涙が出た。
自分は死ななくて良かった、
何で知ってたのに助けてくれなかったんだろう、
そんな涙かもしれない。
だけど、一番大きかったのはやっぱり、
何で死んじゃったんだよ、明美。
ちっちゃい時、私の事一人にしないって言ってくれたのに。
全部全部嘘だったの?
お母さんにも、お父さんにも。
仲間にも、
大切な、大切な友人にも置いていかれた私は、どうすればいいの?
また独りぼっちになっちゃうの?
そんなの嫌だよ。
嫌だ。
嫌だ。
明美のいない人生なんて、嫌だ。
「ねぇお姉さん。」
「もう一人のお姉さんがね、」
貴方は一人じゃないのよ、だって、志保だって、新しい仲間だって傍で貴方を支えてくれているでしょう?
私だって、死んでも空から貴方をずーっと見てる。
だから、泣かないで。
笑顔を見せて。
私の為に、
志保の為に、
秀一さんの為に、
貴方にとって全ての大切な人の為に、
笑顔を見せて。
「って、言ってたんだ。
だからさ、お姉さん。もう泣かなくていいんだよ。
悲しみを一人で背負わなくていいんだよ。
誰かを頼っても、よかったんだよ。」
「それにもう、お姉さんは一人じゃないんだよ。」
そう、その少年が私に伝えた瞬間に病室の扉が開いて、
目にいっぱい涙を溜めたジョディさんと、
安心しきった様な顔をしたジェイムズと、
少しだけ、笑った赤井さんが居た。