コミュ障彼女と警戒彼氏

□一人ぼっちと物語の終点
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「うっ……。」
「お客様、大丈夫ですか…?」

ただいま絶賛飛行機酔い中。

いきなりだったから、何も用意していないし酔い止め飲んでないって気づいたの搭乗口だし。

諦めて乗ったらこの有様ですね、はい。

今メッチャCAさんに迷惑掛けてます。




これ身元バレたらFBIの評判落ちるよな……。



そんな事を思いながら耐えて寝てようやく日本に辿りついた。

現地時間午後3時。そして私がアメリカを出たのが午前1時。

時差ボケ……。




というか明美に連絡……電話っと。



「……もしもし。」

「あら、珍しいわねー天空からだなんて。何か用?」

「今日本に居るからちょっと泊めて。」

「はッ!?」


ま、そりゃ驚くわな。

昨日普通にアメリカで酒飲んでた奴が日本に居るんだもん。



それは驚くよねー。


「だーかーらー、泊めてって。」

「無理よ、今日予定立て込んでるもの。
あ、ごめん。ちょっと。」



悲痛に響く機械音。

私は今日何処に泊まれば良いんだ。



あ、ホテルか。




「あれー?天空ちゃんじゃなぁーい?
もう十年ぶり?もー、年取ったわねぇ、やだわぁっ!」

「有希子、彼女はお前の事覚えてないと思うぞ?
いやいや、すみませんねうちの家内が。」



一気に固まる私。

この人たち何処かで見た様な気がするけど……知らない人。


有希子……?

その名についての記憶を手繰り寄せようとした途端、頭痛がする。

僅かにお母さんの声がした様な気がしたけど、それも激しい痛覚の刺激に遮られてしまった。


「あれ?覚えてない?小さい頃一度家に来たんだけど。
工藤有希子よ。改めてよろしくね?遥架天空ちゃん。」

「なっ…何で私の名前を?」

「だから言ったじゃない!昔家に来た事あるって。
貴方のお母さんの姉よ、私。」

「お母さんの……?
ごめんなさい、私あまり両親の事覚えてなくて…。」

「まぁ、あんな事件があれば当然よね……。」


あんな事件、って言われても私その事件覚えてないよ……。


覚えてるのは、少しの声と優しく私を撫でてくれた手の感触ぐらいだし。



そう言えば、もう片方の男の人、誰だろう……?
有希子さんと一緒に居るって事だから結婚相手、かなぁ。


「そう言えば、名乗るのを忘れていましたね。
私は工藤優作と言います。どうぞお見知り置きを。」

「あ、あのっ……工藤優作って、推理作家の?」

「ええ。ちょっと物書きを嗜んでいる程度ですがね。」

この人が、あの闇の男爵(ナイトバロン)シリーズの!?


何か、ジェイムズに感じが似てる……。

英国紳士っぽいのかなぁ。



あ、これ私も自己紹介しなきゃいけない系のあれ?

皆してるし。


「えっ……と。ご存知かと思いますが遥架天空です。
職種は諸事情で言えません。」

「知ってるわよー?FBIで働いてるんでしょ?」

「ちょ、有希子さん!!そんな大声で言ったら私伏せた意味がっ!」



知ってたら正直に言ったのに……。
てか何で知ってるの。


それにしても、この人声デカい…耳がキンキンする。

元女優、なんだっけ。


仕事柄、ってやつかな……?

「あ、そーだ!今日泊まる所あるー?
よかったら家に……って、こっちでホテル取っちゃったんだっけ?」

「ああ。自宅に戻ったとは知られたくないからね。」






「じゃあ、天空ちゃんも一緒の所に泊まらない?あ、もし泊まる所無かったら、って話だけど。」



「ぜひ!」





泊まる場所、あったーーー!!!!
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