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□下校
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冬の寒い夕方のことだ。辺りは、五時だというのに、もうすっかり暗くなり、五人の後ろ姿を、車のライトが照らし出し、追い抜いていく。五人の前後にも、同じような下校中の学生の姿が見られた。


「うぉ〜さっみぃ!」鳥子が身をすくめて、自分の両腕を抱きすくめた。「もうすっかり冬ですね〜」小松の吐く息も白い。「鳥子は、いつの季節もダメじゃないか。夏は夏で、うだるし」「うるせ。リン。おりゃあ、お前みたいなロボットオタクみたいに年がら年中、引きこもってるわけじゃないのだ」「ははっ、そうですね。ロボット科の皆さんは、研究棟に住んでるって噂ですもんね」亜久里の肩に腕を回していた黒水が、「あんなもん、いじくり回して何が楽しいんだ?」「ゼブラさん、でも、うちの火器は、ロボット科の方々が開発したものを提供してもらってるんですよ?」「ああ、けったくその悪いことにな」「ゼブラのところには、もう回さない」黒髪の少年は、唇をとがらかして言う。「あーっ、なんか、あったけーもの食いてぇな…」「にんじんハウスに寄って、おでんでも食べますか?」「おーっ、いいね、賛成」にんじんハウスは、うさぎがマスコットのコンビニだ。「ししし…じゃあ、ジャンケンで負けた奴が、奢るってのは?」「面白いじゃねぇか」「皆さん、それでいいかもしれませんけど、ジャンケンは、もうちょっと、あったかい所に移動してからにしませんか?」「うん。そーしよ、そうしよ」五人の足が早まる、その先に、コンビニのあかりが、もう見え始めていた。
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