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□夜桜闇真問わず語り
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桜宵闇夢うつつ呼ぶは狂気かした衣。

「春はあけぼの!」庭の木々を山猿のように枝から枝へ飛び渡る少女がいる。「続けられるか!?」渡り廊下でそれを見ていた少女が叫ぶ。「夏は夜!」一本の枝をぐるりと一周した勢いで廊下の少女の隣に着地した。「秋は夕暮れ、だな」「いいじゃねぇか、今度の歌会に使えそうか?」「分かんね!冬は…うーん、冬は…色々あって選べねぇな…お前、何だと思う?」「冬か?みかんじゃねぇのか。というか、それを考えるのが、てめぇの仕事だろうが」言われた少女は、もう聞いているのか、聞いていないのか、みかん、うーん、みかんねぇ、と言いながら、邸の中へ入って行った。
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