★DB 100のお題 〜前半〜★

□27.デート
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バビディを追う最中で別れた後
何故か聞こえた君の呟き
「死なないでね悟飯君、無事に帰ってこられたらデートとかしたいから…」
と言う一言
耳に残って居た
そして、世界が救われた後
どうしても言いたい一言があった
僕から君に
それとも
君から僕に
どちらでもない
でも言い出せない
何かが変わる気がして…
君もそう思うのかな



27.デート


皆がなんとなく地球が危なかったこと。
サタンさんが世界を救ったと信じていること。
そんな中でハイスクールは再開した。
ビーデルさんは皆が『サタンのおかげで助かった』と信じている事に恥じ入っていた。

「御免ね、悟飯くん。ホントは悟飯くんのパパが世界を救ったのに…」

恥らいで頬を染めながら上目遣いで僕に謝ってくる。
身長差があるから、普通に話す時も上目使いだが、恥らいで頬を染めながらと言うのは、何というか、こうグッと来るものがある。

「いいんですよ、ビーデルさん。実際にサタンさんが呼びかけたから、あんなに気が集まったんですし」

「でも、恥ずかしくって悟飯くんのパパやベジータさん達に会わす顔がないわ…」

そう言って俯く。
そうすると自然と顔が見えず、ビーデルさんのつむじから見える。
そこからちょっとだけ見えている耳は朱く染まっていた。

「う〜ん、僕らは普通に静かに生活したいんですよ。名声とかいらないですし」

「……」

俯き答えないビーデルさんに続ける。

「でも、誰かが敵から地球を救ったってことが必要で、出来れば僕たちじゃないほうがいいんです」

「どうして?」

「さっきも言った通り、僕たちは静かに暮らしたい。けど僕たちだってわかったらマスコミとかが来ますよね?それが嫌なんです」

「何で嫌なの?」

「例えば、僕のお父さんは戦うことは好きだけど、名声なんてどうでもいいんです。クリリンさんも、ピッコロさんもです。」

「でも…」

「ベジータさんに至っては『カカロットを倒す』って僕にまで言うくらいで、多分お父さんより強くなりたいだけでしょうね」

苦笑しながら言う僕に、ビーデルさんは一寸安心した様だ。

「悟天くんやトランクスくんには教育上良くないものね」

そう言うビーデルさんはパッと顔を上げた。
安心がにじみ出た笑みで。

可愛いな……

最初の頃は勘が鋭くて、秘密を探ろうとしてきて居るせいか、ピンと張り詰めた雰囲気だったが、舞空術を教え始めの頃からは違う雰囲気だ。
何ていうか、見てるこっちがほんわかしそうな雰囲気の時もある。
でも、戦う時には気を張り詰める。
戦い方も独学じゃない。
時には空手。
かと思えば、ボクシング。
柔術、プロレス、それに少しだけだがムエタイの動きもある。
後、多分だけど何かダンスのような動きもする。
僕からしてみたら、猪突猛進系な所があるサイヤ人系列の動きとは違い、蝶が舞うような動きだ。
そして気が付いてないとは言え、可愛い。
気が強いのが災いしてか、凛として見える。
でもそれが彼女の魅力だった。
だから言い出していいのか、わからない。

「あ、あのね悟飯くん…」

「はい、なんですか?」

「やっぱりさ、一応悟飯くんのパパとベジータさんに謝りたいんだけど…」

「お父さんはともかく、ベジータさんはどうかな〜?僕なんていっつも『修行をしろ』って怒られるし…」

苦笑がてら、頭をかく。

「そ、そうよね…」

そう言うとショボンとする。
悟天もそうだが、こういう態度はこっちの胸が痛い…!!

「と、とりあえずお父さんなら何とかしますよ?」

「本当っ!?」

キラキラと希望に満ちた眼差し。

「多分、組み手に付き合うって言えば」

「え?」

「ボクと一日組手するとかって言えば大丈夫です」

「それって元も子もないじゃない!」

「なんでですか?」

「悟飯くんにもお礼したいのに、それじゃ悟飯くんの負担になるじゃないの!」

「え?ぼ、僕にもお礼?」

「そうよ!舞空術、教えてくれたり、不思議な豆で傷治してくれたりしたじゃない!!」

「気持ちだけでいいですよ」

「ダメ!!ぜ〜〜ったいにダメっ!!」

「ビ、ビーデルさん…」

「そ、そうね…悟飯くん。」

ちょっと思案した後、ビーデルは思い切ったように切り出す。

「悟飯くんが今何が欲しい?」

ビーデルの顔が朱い気がするが、悟飯はそう言われて突発的に口に出た言葉。

「ビーデルさん」

「はい?」

呼ばれたと思って返事をするビーデル。

「だから、ビーデルさん」

「へ?」

と言ってビーデルは一気に赤くなる。

「な、何言って…」

「けど、ビーデルさんも言ってたじゃないですか」

「何をよ!!」

「デートしたいって」

「あ、あれ聞こえてたの?!」

「はい」

「それは、あの、その…」

真っ赤な顔で言い訳を見つけようとしていることが分る。

「僕の欲しいものはビーデルさんとデートすることです」

今度ははっきりと自分の気持を言う。
ビーデルさんは真っ赤な顔で思考停止しているように見えた。

「ビーデルさんから言い出したことですよ?」

「そ、それはそうだけど…それじゃお礼にならないわ…」

「じゃあ『ビーデルさんと手を繋いで』デートしたいという追加で」

「手ぇっ!!」

「お礼に僕のお願い、聞いてくれますよね?」

真っ赤な顔でパクパクさせながらもビーデルさんは気丈に答えてくれた。

「手をつ、繋ぐのはともかく、デートはするわ…」

それでいいでしょ!っとばかりに口を尖らせる。

「ありがとうございます」

へへ〜、やっぱり舞空術教えたりしたからかな?
ビーデルさんは最近凄く可愛い。
何だろうこの感覚。
ほんわかとする。
まぁ、なんでもいいか。
悪い感覚じゃない。
どちらかと言うともっと感じたい位だ。
ん?
でも、あれ?
初めての感覚だな…?
やっぱり、ビーデルさんが女の子で可愛いからなのかな?
まぁ、何でもいいや。

「何時がひま?」

「え?こ、今度の日曜日とかでいいかしら?」

「僕も大丈夫ですよ」

「じゃぁ、あたしイレーザに用あるから!じゃぁね!!」

そう言って去るビーデルの後姿を見守る悟飯は満面の笑みだった。

 ――――――――

一方。

「イレーザ!!」

「何よ、ビーデル。そんなに慌てて。」

駆け寄ってくる友人にちょっと呆れ顔のイレーザ。

「お願いがあるの!!」

「はっは〜ん、まさか悟飯君とデートするからショッピングにつき合えって?」

冗談半分で言った。
育ちがいいのか、無防備なのか。
ビーデルは思ったことが直ぐに顔に出る。
真っ赤な顔で来たから、余計だった。

「な、なんでわかったの?!」

「顔に書いてあるわよ〜」

まさかの大当たり。
けれど、イレーザが予想していたより展開が早い気もした。
のほほんとした悟飯。
意外と奥手なビーデル。
まさかこんなに直ぐとは思わなかった。

(まぁ、でもシャプナーとのカケはあたしの勝ちね)

と思いながら、親友の初デートに協力しようではないか。

「んじゃ、ショッピングモールいこっか」

「ありがとう!」

花が咲いたように笑うビーデル。
悟飯の事は最初はいいかな?と思って居たが、悟飯より親友のビーデルを取った。
何となく、ビーデルが悟飯の事を気にしているからって言うのもあった。
けれど、悟飯を気にするビーデルに対し、悟飯もビーデルを気にしていた。
詰りは最初から『悟飯=ビーデル』の系図が出来ていたわけだ。
そこからはすっかり応援モード。
からかって遊ぶくらいだ。

「で、最低条件は動きやすい服装ってとこ?」

「うん。緊急コールがいつ来るか解からないから」

デートの時くらい無視すればいいのに。
と、思いながらそれが出来るビーデルじゃない所がイレーザは好きだった。
正義の味方。
それがビーデルの趣味だもんな〜。

「まぁ、似た者同士か…」

正義の味方・グレートサイヤマンの正体は悟飯。
こっちも悪が見逃せない性質。
正義の味方カップルってのも悪くないかな?
傍目には笑えるけど。

「さ〜てっと、動き易くてかわいい服探しに行きますか」

「ありがとう、イレーザ」

「お礼はカフェ・ラ・アーモンドでいいわよ?」

「うん、OK」

女の子二人でワイワイとお買いもの。
デートの前のこんなのも悪くないなと頬を赤らめながらモールに向かった。

大切な記念日が一個増える。
お互いに共通した記念日。

『楽しい日になりますように』

其れもまた二人の共通したものだった。


+++++++++++++

後書。
どんなデーとかは番外で書きます。
と言うか、約束を取り付ける所が書きたかった!!(最低)
いやだって、どう転んでも「初心な二人のドキドキデート」は決定事項だし。
なんていうか、子供の『遠足前のわくわく』感が出したい上にちょっと強気な悟飯さんモードなんで…。
あ〜然し、初描きとはいえトップの悟飯さんはデッサン狂ってるわ、愛ないわで笑える。
然も堂々のハ・ツ・カ・キ・❤
ぐふっ!
まぁ、ぶっちゃけ女の子の睫毛をばさばっさと書くのが好きなんで仕方がないんですがね〜。
少女漫画風のトラかこうかな〜。

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