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□ちびルークのほのぼの小説
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『ルークの我儘』


うららかな日。
小鳥は歌い、花は咲き乱れ、人々は何の不安も無く暮らしている。
此処はキムラスカ・ランバルディア王国の首都、バチカル。
王城のすぐ傍にあるファブレ公爵邸宅では、ファブレ夫妻に二人の兄弟が仲良く暮らしていた。
公爵という地位に相応しく、有能で(かなりの親ばかで)ある父。
少し病弱ながらも、王族の血を受けている事に誇りを持ち立ち振る舞う母。
公爵子息の名に恥じぬ行いで、次期国王の自覚も強い兄・アッシュ。
幼いながらも、次期公爵の何は事務用に立ち振る舞おうとする弟・ルーク。

 そんな平和なファブレ家では、ある日からお決まりのやり取りが生まれていた。
其れは、兄と弟。
もしくは母と末息子。
あるいは下の坊ちゃまと執事頭。
その間のやり取り。
 発するのはいつも、ファブレ家次男ルーク・フォン・ファブレの一言。

「ダァトにいきたい・・・・。ティアに会いたい・・・。」

の、一言。つい一ヶ月前、ナタリアの誕生パーティーで知り合ったウィシュティリカ・グランツと会いたいという。
 しゃべったのはほんの数時間。
なのに、ずっと一緒に居た気がする。
ずっと昔から一緒に居た気がする。
でももっと一緒にいたい。
ルークは、彼女に会いに行きたかった。
自分よりも一つ年下なのに、自分よりもずっとしっかりしている。
だから、もう一度会いたい。
あって話したい。
笑いあいたい。
其処には幼いながらも強い想いがあった。
でも、幼い自分にはどうする事も出来ない。其れはわかっている。
だから、お願いするのだ。

「アッシュ・・・・ダァトに行きたい!!ティアに会いたい!!」

一番わがままを聞いてくれやすそうな兄に言って見る。
いつでも、よほどの無理を言わない限り聞いてくれる兄。
だけどこの言葉には一ヶ月間同じ言葉しか返さなかった。

「父上には言ったのか?」
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