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□ホストルー君裏話
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『新人ホストになるまでの日記〜再会とは再開である?〜』


 そりゃぁ、確かに俺は昔っから弱かったし病気も兄貴に比べたらよくした。
だからってこの状態はないんじゃないのか!!

「ご主人様?どうしたですの?」

「たまには一人で外に行きたい………」

「でもママさんとパパさんがだめだって言ってましたの」

そうなんだよな…。
今はっきり言って俺の置かれてる状態ってのは

「軟禁されてるみてぇ………」

なのだ。
自由にできる場所は、自分の家と学校のみ。
買い物やら学校の行き来。
果ては友達と遊びに行くのでさえもSPと言う名の護衛がついてくる。
まぁ、うちの騎士団の人間だから慣れてるっちゃ慣れてるし、関係もいいからそこまで気にはならねぇけどな。

「兄貴が出てったの、わかる気がする…」

ぽつり。
つぶやいた言葉にミュウのやつが異常に反応しやがった。

「みゅ?お兄さんがいたんですの?」

「はぁ?今更、何をいってやがる?」

あきれた様にいってから、そいやそれも当然だと思った。
ミュウがきたのって兄貴が出て行っちまってからだっけ。
でも流石に気がつけよ!!とも思う。
何もかも二個そろったこの部屋に、もう半年以上いるんだから。
そして何もかも揃っているはずの二個は、いつも一つしか使われていないことに。
たまに言い淀む、使用人たち。
極希にギクシャクしてしまう父上と母上との会話。

「いたよ。アッシュっつって、俺とはぜんぜん出来が違うやつがな。」

ため息混じり。
よくある話だ。
出来のいい「兄」と出来の悪い「弟」。
健康優良児の「兄」に、病弱な「弟」。
常に比べられていたような気がして、それでもアッシュに護られていた部分も多くて。
いなくなった時は、寂しかった。
ちょっとは「これから比べられなくてもすむ」とも思っちまったけど、それ以上に寂しい気持ちのほうが強かった。
ぶっちゃけ話、泣いちまったし。

「ぜんぜん違うんですの?って事はすごく怖い人なんですの?」

「はぁ?んな訳あるか!!ぶたざるが何言ってやがる!!」

アッシュのことを貶されたからついつい大きな声が出た。
何でなのかなんてのはわかってる。

「みゅっ!!ごめんなさぃ……ですのぅ…」

ミュウが泣きそうな顔で誤ってくるのでそれで我に帰った。
ばつがわりぃ……。

「俺も、大声出して悪かったな。」

「みゅ」

ミュウを抱き上げて、ベットに座る。
膝の上のミュウは零れ落ちんじゃねぇかと思うくらい大きな目を見開いていた。

「兄貴はさ、俺と違って頭いいし、譜術は使えるし、体力あるし、人望厚いし、剣術の腕もあっちのほうが上だし、俺なんか足元にもおよばねぇ位に出来がいいってやつでさ…」

「ご主人様は兄さまのことが大好きなんですの?」

「好きっつぅか、自慢の兄貴だって事は変わりねぇな……」

「どうしていないんですの?」

「出て入っちまった」

「何でですの?」

「わからねぇ。何も話してくんなかったし、出てってそれっきりだから…………。」

「早く戻ってくるといいですの……。」

「うん…」

小さな手で腹に抱きついてくるミュウをなでる。
こいつが来たおかげで、泣きたい事も少なくなった。
前はアッシュが何とかしてくれたことも、自分でやれるように努力したし、我慢もした。

「ルーク様よろしいでしょうか?」

こんこんっと軽くノックをしてから、メイドが声をかけてきた。
ふっと時計を見ればもう夕方。
でも食事には早いし。

「いいぞ。なんだ?」

「失礼します。お客様がお見えになっております。」

客?今日は面談とかの予定はないはずだったけど?
伝え忘れたのかとも思い、スケジュールに手を伸ばそうとした。

「誰なんだ?」

「マルクト国伯爵のガイラルディア様です。」

「ガイが!!応接室に通してくれ!!」

「もう、お通ししてあります。」

「直ぐ行く!!」

「わかりました、そうお伝えいたします。失礼いたします。」

メイドは下がっていく。
それを見届けてから、上着を羽織る。
流石にインナー姿じゃラムダスがうるせぇからな。

「ガイさんですの?」

「あぁ、そうみてぇだ。お前も来い」

「みゅ!」

後ろについてくるミュウを気にもせず、応接室へ早足で向かった。
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