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□青き月と紅き月〜神話〜
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 昔話をしましょう。
この惑星に古より伝わるお話を。

 世界には空気などなく、ガスと塵と一つの意識のみの存在しか認めれられなかった。
 長い時間意識は漂った。

あるとき、ふと意識は言った。
 『塵は集まり、星になれ。ガスたちは其れを手伝え。』
その言葉に従うように長い時間をかけて塵たちはそうした。
そしてガスもその意思に従い星と成る手助けをし、星の一部と成った。
 しかし星星は混沌の中にあった。
闇と光、水と空気、善と悪。全てのものが混ざり合い、混在していた。
 闇は深淵の面にあり、また光も同じであった。
意識の霊たちが水の面を舞い、空気の中で動いていた。

 意識は言った。
『光あれ。』
闇と光はその言葉に従い、闇と光が互いを開放した。
こうして光と闇と言う認識が初めてできた。
意識とその霊たちは其れを見て良しとした。
光を「昼」と呼び、闇を「夜」と呼ばれた。

 意識は霊たちに言った。
『大空の中に水よあれ。また、水の中に大空あれ。水と水を分け一つを空気と呼べ。』
四人の霊が協力し、その言葉に従い行った。
永い時を費やし、其れが成った。
彼らは力を使い果たし、眠りの淵につこうとした。
意識は彼らに乾いた大地と潤った大地を与えた。
二つずつ与え、彼らは一つに一人ずつ頂いた。
意識は其れを昼の空に浮かべた。
後に乾いた大地は『金の月』、潤った大地は『銀の月』と呼ばれた。
意識は大空を天と呼び、天の下にある水を一所に集められた。
乾いた所が現れた。
意識は乾いたところを「大地」と呼び、水の集まったところを「海」と呼んだ。
良しとされ、後に「大地」の守護を『金の月』の二人の霊に、「海」の守護を『銀の月』の二人の霊に任された。

 意識は再び霊たちに言った。
『地に草よ、芽生えよ。種を持つ草よ、それぞれに種を持つ実を付ける果樹よ芽生え、栄えよ』
それに従い二人の霊は協力し合い行った。
永い時が流れ大地と海に草は茂り、花は咲き乱れ果樹は実をならせた。
二人の霊は疲れを癒そうと眠りの淵についた。
意識に与えられた緑の茂る二つの大地にそれぞれ横たわった。
その大地は、昼に姿をあらわし『翠玉の月』と呼ばれた。
意識は眠りにつく前の二人の霊に目覚めた後に草木の守護につくように言われた。
二人の霊は其れを承諾し、眠りについていった。
彼らはその言葉の通りに目覚めた後に守護した。

 意識は三度霊たちに言った。
『生きとし生ける者たちよ水の中に群がり地の上、天の大空の面を飛べ』
二人の霊が其れに従った。
永い時をかけ、小さなものから始まった。
海には水に群がるもの、すなわち大きな怪物や蠢く者たちを。
空には翼をもつものが飛び交った。
二人の霊は力が余っていたので、一人に力を集めて生き物を統治する静獣として肉体を持った。
そして限り在る存在となったが、彼の子孫は其れを示すために紅き瞳を持った。
意識は其れを良しとされた。
そして、意識は残った一人の霊にく輝く大地を与えられた。
一人の霊は暫くそこで休む事にし、その身を横たえた。
その大地は深き夜の空に浮かべられた。
赤きその姿から『紅玉の月』と人々によばれることになる。
 
 意識はいつのまにか姿を持っていた。その姿に似せ、意識は生物を作られた。
其れを意識は「人間」と呼んだ。
人間は長い時間を経て、意識と同じ姿へと成っていった。
意識はいった。
『人間よ、みよ。この星に生える種を持つ草と種を持つ実を付ける果樹はすべてあなたたちに与えよう。あなたたちは其れを食しなさい。』
人間たちにその声は聞こえなかった。
しかし人間たちはそのようになった。
意識は人間を見ていた。彼らは意識と対話する能力があるにもかかわらず、一向に話そうとしなかった。
意識の姿が見えるはずなのに見ようとしなかった。
それどころか人を騙したり、殺したり疎んだり悪意を持ち出した。
意識の中にも悪意は生まれた。
意識はそれでも、生き物たちを祝福した。
『生み、増えよ。星に満ち、星を従わせすべてを支配せよ。』
ごく一部の者のみしかこの言葉は聞いていなかった。
しかし、人間たちはこの言葉に従い行った。
人間たちは増え栄えた。
草木を収め、獣たちを飼いならし、全てを支配していった。
けれども、それに比例して悪い行いも増えていった。
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