★DB 100のお題 〜前半〜★

□41.キス
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それは誰だって憧れる
オンナノコなら特に
好きな人と
ほんの数瞬でいいから
触れ合いたい
我儘?
でも
コイする乙女には当然の権利
でしょう?


41.キス


 彼と出会って、まだそんなには経っていない。
でも。
キスしたい。
 今でも手をつなぐだけでドキドキする。
でも悟飯君は涼しい顔だ。
何だか悔しい。
私はこんなにドキドキしてるのに!!
 今まで見なかった大自然のあるパオズ山は好き。
木々のせせらぎ。
川の音。
深いブルーに見える湖。
色々新鮮。

「迷子になると大変だから」

そう言って差し出された手におずおずと重ねる。

「そういえば、ビーデルさん、トト達って覚えてます?」

「あ、あの恐竜の?」

「はい。最近ちびが飛べるようになったんで行きませんか?」

「え?」

ビーデルは一瞬ためらう。
チビがさらわれた時に人間を凄く怖がっていたからだ。

「僕がいますし、あの子たちはみんな頭がいいから助けてくれた人は怖がりませんよ?」

「でも……」

何となく、迷う。
だってビーデルとトト達は普通に考えても住む世界が『違う』のだ。
警戒されたらビーデルでも敵わない。

「大丈夫。あいつら頭いいですし、僕に慣れてますから」

「う、うん」

それでも迷うビーデル。

「あ、嗅覚良いから…」

そう言ってつないだ手を軽く引く。

「きゃ!」

行き成りの事でビーデルはバランスを崩す。

とふぅ。

それを抱きしめる様に受け止める悟飯。

「ちょっと!!悟飯君!!」

「警戒されるのが嫌なら僕のにおい付けておきましょう♪」

すっぽりとビーデルを抱きしめる。
その顔はにやけている。
それを見て取ったビーデルは怒る。

「んっもう!それっていい訳じゃない!?」

「そんな事ないですよ〜★」

と言いながら直ぐ胸元にあるビーデルの頭に頬ずりをする。

「お、怒るわよ!」

「まぁまぁ」

にやけている顔で、ビーデルはむくれる。
内心『一歩前進?』とか思いながら。

結局、悟飯の行動は進んでいく。
抱きしめた腰に少し力を入れ舞空術でトト達の巣に向かう。

「自分で飛べるから!」

「すぐそこですよ〜」

なんてやり取り。
 でも、巣に来てみたら誰もいなかった。

「え〜いないじゃない!!」

「ご飯の時間だったのかな〜?」

「む〜〜〜」

ふくれっ面のビーデル。
こんな表情も可愛いな〜等と身も心もビーデルに溺れている悟飯。

「んっもう!」

ビーデルは悟飯の腕から逃げだし、巣に入り込む。
恐竜は怖いが、どんな巣なのか興味はあった。

「わぁ〜、ふかふか!!」

それはそうだろう。
親子三匹」生活するんだし、硬いのは誰だって否だろう。

「この巣って一年がかりで作るんですよ」

その言葉に「へ〜」と返す。

二人して巣に入り込み、肩を並べる。
身長差がある二人だから、当然座高も違う。

「あ、悟飯君。葉っぱが髪についてるわよ?」

「え?どこですか?」

慌てて頭をまさぐる悟飯。
その様子を見て、くすくす笑うビーデル。
膝立になって、葉っぱを取り「ほら」とばかりに悟飯に見せる。

「あ、あるがとう」

「どういたしまして」

そこで絡み合う視線。
ドキドキするのはお互い様。
朗らかに笑うビーデル。
照れくさそうな悟飯。

 がしっと掴まれたのは葉っぱを取ったビーデルの腕。

「え?」

戸惑うビーデルの腕を軽く引き、胸におさめる悟飯。

「ご、悟飯君…?」

「ビーデルさん…」

軽く、抱きしめる。
そうしなければサイヤ人ハーフの悟飯は簡単にビーデルを傷つけてしまうから。
片腕は腰に回したまま。
もう一方の手で優しくビーデルの頬をなぞる。
顎に行きつく。
 そしてそれが自然なように上を向ける。
ビーデルはそっと、目を閉じる。

乙女らしい桜花色の唇。
それに吸い寄せられるように悟飯は顔を寄せる。

重なる。
柔らかくしっとりとした唇。
それを確認したのか、していないのかと言うほどの一瞬。

それでもこの二人にとっては長い時間だった。

何となく、二人とも恥ずかしくてまともに顔を見れない。
それでもビーデルが恥ずかしがっているのは察した悟飯。
でもこんな時に何を言えばいいのかわからない。

そんな中で、トト達一家がかえってきた。

「トト〜!!」

悟飯天のお助けとばかりには、立ち上がって恐竜たちを迎える。

「きゅいぃ〜」

嬉しそうに寄ってくる。
一瞬、チビがびくりとした。
ビーデルに対してだ。
母親の影に隠れようとする。
ビーデルはビーデルで、さっきの事があってややパニック状態。
何のかんのと言いながら、ちょっと警戒気味。
それでも二人の内心は一緒だった。

((帰ってきてくれてありがとう))

と。

「あ、こんな時間!」

「あ、本当だ」

気が付いたら夕刻。
サタンシティまで結構かかる。

「う〜ん、フライヤーで間に合うかしら?」

ビーデルは父親に何か言われそうで嫌だった。
だってあんなことがあったんだもん。
と乙女思考。

「あ、じゃぁ送りますよ?」

「ぅ、うん…」

あんなことがあったのに、平然としている悟飯にとってあれはきっとファーストキスじゃないんだと、少し落ち込む。
勿論ビーデルは初めてだ。

そんなもやもやを抱えながらいると、悟飯がひょいとビーデルをお姫様抱っこで飛び出す。

「ビーデルさん、何か怒ってません?」

「べ、っべつに!!」

つっけんどんに返す。
『惚れた方が負け』
よくゆうけど、それってホントね。

ちょっとギクシャクしながら門限十分前にビーデルは帰宅できた。
何だか分らないけど、負けた気分のビーデル。
何で不機嫌なのかわからない鈍感キングの悟飯。
何となく思い知らせてやりたい。

「悟飯君、未だ葉っぱついてるわよ」

ビーデルはそう言って浮き上がり、悟飯の目線まで行く。
そして。

ちゅ。

悟飯の頬にキスをお見舞い。

「さ、さっきのお返しよ!」

そう言って真っ赤な顔で急いで門をくぐる。
取り残された悟飯は戸惑うばかり。
こんなうれしいお返しが貰えるならもっとしておけばよかった?
なんて不埒な疑問。

悟飯とビーデル。
この二人はどこまででも、相手にドキドキしてしまう。
それはある意味当然で、でも天然でもある。

けれどその次の日は、あまりまともに話せなくてイレーザやシャプナーに不振がられたのは言うまでもない。

ファーストキスがお互いだった、初恋がお互いだった。
それを知るのはまだまだずっと先の事。
初心な高校生(しかも恋愛経験値低い)とは珍しいだろう。
そして、ファーストキスがまさかの恐竜の巣である人はきっと居ない。
解かりやすいけどややこしい部分もある二人に友人たちははやし立てる。
そんな平和。
二人にとっては全然平和じゃないけど、それもまた青春。

お互いがお互いの事を思って居ればいいだけの話だ。
問題点は正直すぎる二人を揄うクラスメートだけかもしれない。
バカップルにはつきもの。
ご愁傷様です。

END.


***************
後書という名の反省。
あ〜、やはり要点が後半に行く…。
文才欲し〜!!

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