★DB 100のお題 〜前半〜★

□09..金色の戦士
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「え?」

黒い髪だと思ったのに、一瞬にして金色の髪に変わる。
黒曜石の瞳はアイスブルーだ。

「見、見間違い…?」

じゃない。
確かに黒かった。
髪の毛も逆立っていた。
でも……

「……なんて、哀しそうな…瞳…」

多分、年は同じ位。
なのに、なんて憂いを帯びているの?
何を背負っているの?

「あぁ、このゲームは…」

世界がかかっている。
彼の小さな肩には、世界がかかっている。

「なんで?」

何で誰も、彼に任せるの?
同じように飛んでいる大人たちは彼を見ているだけ。

「何で…?」

何で、彼はそんな大人たちに文句を言わないの?
『自分ばかりに!!』
そう、怒ってもいいはずなのに受け入れている。

「え?」

手の甲に何かが落ちてきた。
それで気が付いた。
落ちたのは私の涙だ。

「なんで?」

何で私は泣いているの?
何で彼は哀しそうなの?
何でこんなに切ないの?
何でこんなに気になるの?

「金色の戦士…」

同じくらいなのだ。
だったら。

「会える…かな?」

会いたい。
聞きたい事は沢山ある。
それでも、会えるかはわからない。
沢山いる人の中で、会いたい。

金色の戦士。

そして言いたい言葉がわかった。

「哀しいなら、泣いていいのよ?」

そう。
あのアイスブルーの瞳。
何かを堪えるあの瞳。
何を堪えているのは何となく気が付く。
それは『戦いたくない』哀しみ、だ。
私も武術をやるから解かる。
『戦いたい相手』と『戦いたくない相手』。
それは、彼にとってはどんな相手もなのだと悟った。

「何で……」

何で戦うの?なんて愚問。
だから、セルゲームが終わった今だから言える。

「ねぇ、傍に居るから泣いてよ…」

探すから。
どれだけ経っても探す。
まさしく悲壮と言える瞳。
それが揺れても傍らにいるから。

「もしかしたら、私も泣くかも。」

くす。
手の甲で涙を拭いながら、笑う。

金色の戦士。
それは見つからないかもしれない。
見つけられないけれど、探すわ。
きっと居るから。

「ねぇ、今は幸せなのかな……?」

今あなたが幸せなら、いい。
でも、きっと彼は泣き言を言わない。
言えない。

「出来たら…うぅん、絶対会いたい!」

巻き戻して、もう一度見る。

漆黒の髪。
黒曜石の瞳。

其処から変わる。

金色の髪。
哀しそうなアイスブルーの瞳。

「あなたは…誰…?」

私はビーデル。
ねぇ、会いたい。
神様。
彼に逢わせて。

運命の邂逅を願う。

でも。
一番の願いは違う。

どうか、彼が幸せでありますように…。
どうか、彼が笑顔で居ますように…。

それが願い。

逢うのは願いだけど、自分で頑張れる。
けれど何処に居るか解からない彼を探すのは、自分でできる。
だから願うのはこの二つ。
今の私には出来ないから。

「でも……」

でも出会えたら……。
出会えたら、私があげたい。

彼の笑顔。
彼の幸せ。
彼の楽しみ。

そして……

哀しみから
苦しみから
痛みから
捕らわれてる何かから
何もかも

その何もかもから、護りたい。
烏滸がましいかも知れない。
それでも思う。

だから。
ねぇ。

誰にも内緒で泣かないで。
何時か。
貴方に逢いに行くから。
だから、待って居て。

私は貴方の味方だから。
だから、待って居て。

探すから。
金色の戦士じゃ無い貴方に逢いたいから。









END.

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