★DB 100のお題 〜前半〜★

□06.赤い糸
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知ってる?
運命の赤い糸。
それは月の下で決まるって。
それも、小さい頃に。
其れって運命だよね?
僕がもう荒れ野に居た時には決まっていた。
だったら凄く嬉しい。
あの時に君に出会いが決まっていたなら…。


06.赤い糸


 「ビーデルさん、明日は暇ですか?」

ビーデルの手をしっかりと握りながら聞いた。
今日はビーデルの希望でパオズ山の散策だ。

「ええ、暇よ?」

何時もならどこかに行こうとかそんな誘い方なのに、今日は違っていてキョトンとするビーデル。

「じゃあ、お礼に行きませんか?」

「お礼?」

益々わからない。
悟飯の意図がつかめないビーデル。

「そう、お礼」

「誰に、何の?」

「月老にです」

「ユイ…ロン?」

聞いたことない名前だ。
悟飯の知り合いなのだろうかと思うビーデル。
けれどこれまで、聞いたことはなかった気がする。

「あ、正確には月下老人ですよ」

「げっかろうじん…」

満面の笑みの悟飯に、やはりわからなくて疑問符を浮かべるビーデル。

「わからないですか?」

「わからないわ」

素直に答えるビーデルにそれでもにこにこと笑っている悟飯。

「僕たちは凄くお世話になりましたよ?」

「何の世話よ?」

ちょっとビーデルはむくれる。
自分が解からないのを、悟飯が楽しんでいると思うと腹が立つ。

「いいわよ!教えてくれないなら、明日行かないもん!!」

ビーデルは伝家の宝刀『不機嫌になる』を発動させた。
これには流石の悟飯も慌てる。
ビーデルは不機嫌になると、機嫌を直すのが大変なのだ。
前など、一週間も口をきいてもらえず、悟飯はほとほと困り果てた。(悟飯ものどを通らず2キロもやせたのは内密だが…)

「あっ!教えます!教えますって!」

「本当でしょうね…?」

ぎろりっと睨みつけるビーデルに勿論と頭を振る。

「月老…月下老人って言うのは、赤い糸を結びつける老人の事なんです」

「紅い糸って、運命の赤い糸?」

「そうです。月明かりの下で誰と誰を結びつけるのかを決めて、持っている赤い糸を結ぶんです」

「だから、月下?」

「そうです」

ふ〜んと、何とか“月下老人”については解ったビーデル。
でも残る疑問点を悟飯にぶつける。

「でも、何でお礼なの?」

ここまで言っても解かってないビーデルに悟飯葉ちょっとしょんぼりした。
自分だけなのかな?と思ったりもした。

「ビーデルさんは月下老人にお礼はないの?」

「なんで?」

「だって、僕とビーデルさんの赤い糸は月下老人が結んでくれたんですよ」

「なっ!!」

率直な悟飯の言葉に、ビーデルは赤くなる。

「な、何言ってるのよ!!」

真っ赤にした顔を隠すかのようにうつむき、繋いだ手を放そうとする。
が、悟飯がそれを許さなかった。

「ビーデルさん?」

「離しなさいよ!」

「いやです」

と、きっぱりと断りついっと手を引き寄せる。
ビーデルの体はいとも簡単にバランスを崩し、悟飯の胸に倒れ込む。
それを狙い、悟飯はビーデルを抱きすくめる。

「ちょ、ちょっと離しなさいよ!!」


「ん?いいですよ?」

といって、悟飯が話したのは手の方だった。
そしてその手はビーデルの後ろ首を抱く。

「違うわよ!!悟飯君!!」

「何が違うんですか?」

ちょっと面白そうな、からかっているときの口調だ。
敵わないと分かっていても、何とか抜け出そうとするビーデル。

「で、赤い糸を結んでくれたお礼に明日行きませんか?」

「話するなら、離しなさい〜〜!!」

ジタバタするビーデル。
それを難なく抱きしめる悟飯。
いつもの事ながら、当事者(主にビーデル)は大変だ。

「じゃぁ、行きましょうね?」

胸元のビーデルを覗き込んで、満面の笑み(ベジータやピッコロが見たら『弛んでいる』と言う)である。

「い、行くって言ったら離してくれる…?」

「そうですね〜?」

「何で疑問形なの!」

「本当にいってくれるんですか?」

「……離してくれるなら…」

「じゃぁ、明日一緒に行きましょう?」

「行く!行くから離して!!悟飯君!」

ぎゅ〜っと悟飯の胸を手で押しながら答えるビーデル。
相変わらず顔は真っ赤だ。

「行く意味は解ってますよね?」

「う…うん…」

「じゃ、良いですけど…」

手は繋ぎましょうね?
と、離して直ぐにビーデルの手を捉える。

「もぅ…」

真っ赤なままのビーデルは何となく俯く。
恥ずかしがっていると分かっている悟飯だが、二人の時までそんなに恥ずかしがらなくていいんじゃないかと思う。
が、そんなところもビーデルの魅力で、悟飯可愛いと思ってしまう。
こんな彼女と結ばれた赤い糸。
結んでくれたのに感謝しつつも、他の男とだったらぶっちぎって、自分と結び直すけど、等と不穏な考えをしているのだった。



END.











後書
運命の赤い糸は、ピンクユニコーンみたいに目に見えないらしいですね〜。
もし見えて、ビーデルさんの赤い糸が自分じゃなくて他の男とだったら、確実にぶちぎり、自分にむすびつけるだろうな〜。
糸はぶっといのがご希望だろう。
月老は足首だったが、出来るなら両手両足希望するな〜、家の悟飯は!!
取り敢えず、父でも弟でも母でもちょっと仲良さげだとジェラる悟飯さんだしな(笑)

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