National Library

□桜
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あの日…初めて奴と出会った時は、桜が満開だった。
俺は妹のランを捜しに、今日も走り回っていた。
あの桂川での出来事以来…俺の日課になっていた。

「今日も収穫なしか…」
天真は気分転換にと、墨染にやって来た。
あかねと来た時は、まだ桜は咲いていた。
「さすがにもう咲いてないか」
『何だか少し残念』と、思いながらも奴と初めて出会った場所は、どこも変わらす、心地よかった。

どれくらい居ただろうか…何時の間にか、寝てしまったらしい…ふと、周りを見ると、夕日が綺麗に、辺りを紅く染めていた。
「こんな所で寝ていると、風邪を引くぞ…天真」
いつから居たのか、頼久が話し掛けてきた。
ビックリして、驚きが隠せない様子
「何時から居るんだよ…気付いたんなら起こせよ…」
動揺しながらも、反論する。
「気持ち良さそうに、寝てたからな…天真、この頃ちゃんと寝てないだろ」
頼久は、気付いていた。
あの桂川での出来事以来…あかねと、出掛けるとき以外は、殆ど屋敷には居なかった。
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