Project(Hiyoshi)

□ワンピース
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パチリパチリと埋め込まれていく、パズルのピース。
真っ白なピースを一つずつ。


それは必然。


だけどそれは一人では完成できない。
だってホラ。
ぽっかり空いた真ん中の穴。


ねぇ、カミサマ。いるのなら答えてよ。
俺の最後のワンピース。


持っているのは、一体誰?




ワンピース





ハァっと息を吐くと、口から昇る白い筋。
さすがに12月ともなると、空気が冷たい。
肺を刺す鋭利な刃物の様に、冷たい空気が呼吸の度に流れ込み、切原は小さく咳き込んだ。

「寒ぃ…」

まだ朝も早い時間帯。
切原は氷帝学園の校門前にいた。
こんな早くに自分の通う学校ではなく、この場所へいるのには理由がある。
それはある人物を待つ為…。

じゃり。
地面との間にある砂利を踏む音に、切原は伏せていた顔を上げた。
足から辿って視線を上げていき、顔を見る。
目が合った。
そこに立っていた人物は、切原の顔を見て、信じられないという顔を浮かべた。
しばらくの沈黙。
そしてそのまま…。

彼は切原の存在など無視するように、踵を返した。

「おい、コラ。ちょっと待てぃ!!」

切原は慌てて彼を呼び止める。
彼こそ、切原が待ち焦がれていた人物なのだから。
切原の制止に、彼は止まり、溜息と共に再び振り返った。
その顔はとても不機嫌そうだ。

「…何か用かよ」

にべもない。
突き放す様な一言に泣きたくなる。
彼の為に寒い中待っていた自分を、凄く慰めてあげたくなった。
この時間にここに来る為に、どれだけ苦労したか…。
相変わらずなのだ。
そう、それこそが切原の愛しい人なのだから。

「…用がなきゃ、来ちゃダメな訳?」
「駄目だ」
「…あっそ」

きっぱりと言い放たれると、本当に涙が出そうだ。
だけど、仮にも恋人と言われる相手に対して、これはあんまりじゃないだろうか。
好きだからこそ、会いに来たと、そう思ってくれてもいいだろうに。
特に今日という日には…。

しかし、それでめげていては、彼の相手が出来ない事を、切原はまた知っている。
彼、日吉若を自分の恋人にした時の苦労を思えば、こんな事はなんて事ない…。多分。
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