Project(Hiyoshi)

□Lucky Trap
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さぁ、罠をしかけよう。




Lucky Trap





苦手な人種、のはずだった。

それはもう、“苦手”というより、“嫌い”と言った方が、余程正しいのではないかと思える程に。

生真面目で、冗談も通じない。
こっちのジョークに返す態度は鼻で一笑。
慇懃無礼な言動は、そのまま彼の自分に対する評価で…。
それもかなりよろしくない様子。

はっきり言って、ムカつきました。
かなり。

そりゃ、俺の言動は決して万人受けするものじゃないだろう。
亜久津なんかは、その代表。

だけど初対面の。
それも年下の奴に、初っ端から馬鹿にされてたんじゃ、俺のあるんだかないんだかよく分からないプライド(東方にそう言われた…酷くない?)が、怒りを訴えるのも当然だ。

だから、最初のきっかけは単なる意地。
ただ、それだけ。
特別に想う気持ちなんて、欠片もなかった。
だって、タイプじゃないし。
そもそも…男だしね。

だけど…まさか、ね。
この千石さんが、よもや同性を好きになるなんて、南だって思ってなかっただろう。
脳内麻薬ってのはやっかいだ。
ちょっとしたキッカケで分泌された想いは、今や全身を支配して、俺の行動を支配する。
あぁ、彼を好きになったのだと。
そう、理解するのに、時間はかからなかった。

自覚したなら、俺の取るべき道は一つ。
ひたすらアタックあるのみ。
しかし、正攻法ですんなり落ちる相手じゃない。
好きです。
付き合って下さい。
なんて真顔で言っても、頭の可笑しい人扱いされるのが関の山だ。

だから、罠をしかけよう。
逃げられたら追いたくなるのが人間って奴で。
つれなくされたら余計燃えてくるのが、俺って人間で。
だから、罠をしかけよう。
気付かれないように、巧妙に。
想いを疑われないように、慎重に。
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