Project(Hiyoshi)

□ワンピース
2ページ/6ページ

「でも、残念ながら。今日はちゃんと用事があるんだよねー」
「用事?」
「そっ」

引き攣った笑顔を見せながら言うと、日吉は不振を表す様に顔を顰めた。

「何だよ。用事って。朝練があるんだから、早く言え」
「うん…。それじゃ、ちょっと失礼」

断りを言い終わるか終わらないかの内に、切原は日吉の手から荷物を奪った。
あまりの突然の出来事に反応する事が出来ない日吉の目の前で、切原は日吉の荷物の中に手を入れると中を探り始める。
そこでやっと現状を把握した日吉は、静かに湧いてくる怒りに肩を奮わせ始めた。

「てめぇ、何してんだよ!!」
「ん〜ちょっと待ってて。お、あったあった」

やがて切原は目的の物を見つけだしたのか、満足気に笑い、それを取り出すと荷物を日吉へと戻してきた。
荷物を受け取りながら日吉が見ると、切原は取り出した何かを手の中で弄っている。

「何して…」
「これでよしっと…」

日吉の疑問には答えず、切原は満足した様にそう呟くと、手にした何かを日吉へと差し出した。
それは、日吉の携帯電話だった。
日吉が呆然と受け取る中、携帯には送信を示すランプが点滅していた。
今、目の前のコイツはコレを手にして何をしていた?

「さ、それじゃ行こっか」
「は? な、何を言ってるんだ。俺は朝練が…」
「だ〜いじょうぶ! 日吉くんは休みだって連絡しといたから!」
「何言って…連絡??」

そこでハッとある事に気が付いて、慌てて手にした携帯を開きディスプレイを確認する。
ディスプレイはメールの送信を告げていた。
その内容を確認すると…。

件名:おはよう。
本文:悪い。今日の部活いけなくなった。適当にやっていてくれ。

送り先は…。
鳳長太郎……。

「お前っ! 何を勝手に!」
「まーまー、ホラさっさと行くよ!」
「あっ、おいちょっ…」
「ちゃ〜んと日吉くんっぽく送ってんだろ? 大丈夫だって」

どこがだ!
大体まずもって何で俺が部活を休まなきゃいけないんだよ!
色々と言いたい事があるのに、あまりに一方的な展開に口をパクパクする事しかできない。
その間に切原は日吉の手を取り、歩き出す。
手を振り払う事も出来ず、日吉は切原に引っ張られながら、後で鳳にどう言い訳をしようと、そうぼんやりと考えていた。
次へ
前へ

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ