Project(Hiyoshi)

□The Fool
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まるで魔法にかけられたように、足から力が抜け、日吉の体が前に倒れかける。
地面と激突しないですんだのは、崩れ落ちる瞬間に、柳生が日吉の肩を支えてくれたからだった。

「日吉くん!? 大丈夫ですか?」
「…あ」
「確りして下さい!」
「す、すいません…」
「立てますか?」
「はい…」

柳生に支えられながら、日吉は自分の足で地面を踏みしめる。
だけどそれはまるで雲の上にいるかのように実感が無く、ともすれば再び抜け落ちてしまいそうだ。

「そ、それで…仁王さんは…」
「大丈夫です。それほど酷い事故ではなかったんですよ? だから安心して下さい」
「…良かった」

柳生の言葉に、日吉は心底ホッとしたように、息を吐いた。
その安心した表情を見て、柳生の顔が僅かに曇ったが、それは日吉に気付かれる事はなかった。

「柳生さんは…どうしてここに?」
「仁王くんから待ち合わせしてると伺っていたので、迎えに来たんです」
「すいません」
「謝る事はありませんよ。それじゃ、病院に向かいましょうか」
「はい!」

促すように歩き出した柳生の後ろについて、日吉も歩き出す。
日吉の頭の中には、仁王の安否しかなかった。
柳生がそこまで慌てていなかったと言う事は、命に別状はないらしい。
あとはどの程度の怪我を負ってしまったのか、心配でならない。

(仁王さん…)

どうか無事でいて。
日吉の思考は、ただ仁王の無事のみを祈っていた。
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