Project(Hiyoshi)

□海を越えたプレゼント
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「ワカシ〜。俺も会いたかった〜」
「うわぁっ、こら、離れろ!」
「NO! 久し振りのワカシの匂い。もうちょっと満喫させてよね」
「気持ち悪ぃ事言うんじゃねぇ!!」
「Ouch!!」

身長差の関係から、日吉の腰元にあった来訪者の頭のてっぺんに、日吉の肘が容赦なく落ちた。
あまりの衝撃に、来訪者である少年は蹲り、頭を押さえる。
しばらく後、上げた瞳は涙目で、そんな目で見上げられると、ともすれば罪悪感が芽生えそうになる。
日吉は慌てて、二三度頭を振った。

「痛いよ、ワカシ…」
「自業自得だ」
「もう、照れちゃって、相変わらずシャイなんだから」
「照れてねぇ!!」
「ま、そこが可愛いんだけどね」
「人の話を聞け! 大体何でお前がここにいるんだよ!」

怒りに肩を震わせながら、やっとの事で本題を切り出す。

「ワカシに会いに来たにきまってるだろ?」
「は? そんな事の為に、わざわざ日本まで来たのかよ」
「of course! だって、明後日はワカシのBirthdayなんだろ?」
「え…な、なんで?」

思いがけない言葉に、日吉の目が見開いた。
確かに二日後は日吉の誕生日だ。
しかし目の前の少年が、それを知っている理由が日吉には分からなかった。
日吉は言った覚えなどない。
海の向こうにいたハズの少年が、どうやって…。

「それは企業秘密ってヤツで」
「クソチビ…お前な!」
「ケビンだって言ってるだろ? いい加減、名前呼んでよ、ワカシ」

先程までの泣きそうな顔が一転して、不敵な表情を浮かべる。
どこか相手に主権を握られてるような気がして、日吉は柳眉を寄せた。
どうも、この少年、ケビンの相手をしていると調子が狂う。
そんな日吉の気持ちを知ってか、知らずか、ケビンは微笑んだ。
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