ロイエド
□4、図書館
1ページ/2ページ
「好きだよ」
「……へ?」
図書室にて、エドが本をいつものごとく集中して読んでいた時のことだ。
机に戻らずに書架の間で立ち読みをしていたエドの背後に立ったのはロイであった。
耳元で聞かされた心地よい声。
ロイを見上げること数十秒間、エドはやっと言われた事を理解した。
口をパクパクさせているエドを見て、ロイは苦笑する。
「エディ?」
顔を覗き込むように近づけて、恋人モードで呼びかけた。
「好きだと、言ったのだよ?」
「そ、それはわかったけど……」
錬金術師モードからの突然な切り替えに、さしものエドも焦ってしまう。
「な、なんでロイがここに」
つられてエドも恋人モードになってしまった。
「君に逢いたくてね」
「サボリ?」
的確な推理で真実を突いてきたエドだったが、とくに責めるつもりはなかった。
どうせ中尉が探しに来るのだろうし、何よりエドも逢えて嬉しいのだ。
と言う訳で、ロイがエドの発言をさらりと流しても何も言わなかった。
「ところで、私は好きだと言ったのだが」
「わかったから! 連呼すんなよ、恥ずかしい」
エドは読んでいた本を棚に戻しながら憤慨する。
けど、ロイに好きだと言われるのは別に嫌ではなかった。
むしろ心地よさを感じていて、そんな自分が恥ずかしいだけであったりする。
そんなことはロイも承知しているので、逢うたびに色々なシチュエーションで囁くのだった。