蓮さんのサイト『豆工房』にて、キリ番2000のリクエスト権を頂戴し、眼鏡をかける大佐 というフェチ感あふれるリクをした三游。
快諾してくださった蓮さんは↑このように素晴らしいイラストを仕上げて下さいました!
 この大佐ってば色気があり過ぎて堪りません! どうぞ見惚れて下さい(^^)。

注意※このイラストは絶対に持ち帰らないで下さい。

以下は、三游が(うっかり)妄想してしまった小話です。



 「大佐いるー?」

 オレはノックもなしに大佐の執務室へと侵入した。
 本来なら許されないだろう、無礼な登場である。
 けれどオレと大佐の関係ならこんなもんだろ。真面目に挨拶すると、逆に驚かれるしな。

 「あれ…?」

 居るか、と尋ねながら入ったオレだったけど、それに答える者は居なかった。
 オレは腕を組んで少し薄暗い部屋を見渡す。大佐はどこに行ったのか、執務室はもぬけの空だ。
 …やっぱり居ないか。いつだったか、大佐がソファで寝てたこともあったんだけど。
 窓の外を見ると、日が沈んで、夜が始まろうとしていた。
 まったくドコ行ったんだ、あの無能。
 落胆した自分を誤魔化すように、心にも無いことを呟く。
 寄り道しないで来てやったのに…。
 少しの寂しさを怒りに変換して、オレは荒々しくソファに腰を下ろした。

 「オレが居る内に帰ってこいよな」

 背もたれに体をあずけ、深く座りなおす。良い生地使ってるから座り心地も良いけれど、独りでこの部屋に居るのは不本意だ。
 ため息をついて足を組んだ瞬間、ドアの外に人の気配を感じる。
 はっとして顔を向けた先でドアが開いた。
 この部屋に無断で入ることが出来るのは、オレ以外だと一人だけ。

 「すまない、待たせたか?」

 数冊のファイルを片手に戻ってきた大佐は、部屋を一瞥すると明かりのスイッチに手を伸ばした。

 「あぁ待ったよ」

 肩を竦めて見せれば、大佐は苦笑を返してくる。
 急ぎの仕事が入ったんだろう? そんなの、ちょっと考えれば分かることだ。部屋の外でバタバタしてないところを鑑みると、オレはもう少しだけ待てばいい。
 あっさりと現状を察したオレだから、もちろん待つのは構わない。
 でもそんなコトを素直に伝えたら、大佐を付け上がらせるだけだ。
 …オレが恥ずかしいから、とかじゃない。絶対違う!

 「だから、早く終わらせろ」

 わざと尊大に言ってやったのに、大佐ときたら嬉しそうに「ありがとう」って笑いかけてきた。
 もしかしなくても、お見通しってヤツ?
 オレは顔が赤くなりそうな気がして、大佐の笑顔から体ごと視線を外す。

 「長くは待たないからな!」

 ファイルを掲げて見せた大佐は自分の席に着くと、引き出しを開けて何やらゴソゴソしている。
 大佐が取り出したものは、意外にも『眼鏡』であった。
 細めのメタルフレームを開いて、大佐は慣れた手つきでソレをかける。前髪をかき上げた手で眼鏡の位置を調節し……そこでオレに目を向けた。

 「鋼の?」

 あ。
 しまった、見惚れてた。

 「眼鏡なんかかけて、ついに老眼か?」

 思わず出たのが生意気なセリフ。
 誤魔化すなら、もうちょっと巧くやろうぜ…。
 内心でため息を吐くオレと違って、大佐は実際にため息を吐いた。

 「失礼だな。コレは伊達に近い」

 ほとんど度は入ってない、と憮然として言う大佐が子供みたいで、オレは笑いながら謝る。
 硬質な印象を受けるその眼鏡が大佐によく似合っていて、正直に言うとカッコいい。
 そんなコト、口に出せないけど…。

 その後、大佐が何か言ってくるかと思ったけど、資料を繰る音やペンが走る音だけが続いた。

 ファイルを机の端に置き、大佐が立ち上がる。
 眼鏡に手をかけながら視線を寄越した。

 「では行こうか」

 縁なしのレンズの向こうから、漆黒の瞳が覗く。
 現れた瞳が、あまりにも真っ直ぐオレを射抜くから、オレは慌ててそっぽを向いた。

 「約束の時間はとっくに過ぎてるだろ」

 今日のオレは怒ってばかりだ…素直になれない性格が少し悲しい。
 大佐は自己嫌悪に肩を落としたオレの前までやって来ると、片膝をついてオレの手をとった。
 下から覗き込んでくる大佐の目元が笑っている。

 「ご機嫌を損ねてしまったかな。…エディ、今夜はキミのために食事の予約をしてあるのだがね」
 「……おごりだろうな?」
 「もちろん」

 やっぱり素直になれないオレの左手に、大佐は恭しく口付けた。そして、頬を染めたオレを促し部屋を出る。
 オレを見る大佐の瞳は、相変わらず真っ直ぐだ。けれど、それがすごく心地良いってコトだけは素直に認めようかな…。
 オレの肩を抱く大佐を見上げて、オレは微笑んだ。

 fin.



 何が書きたかったか? 『眼鏡をかけて→とる大佐』ですよぅ! ……読んでくださった方にごめんなさい。全て、眼鏡萌えな三游が悪いのです(てへ)
 謝りついでにコレ、この話を蓮さんに捧げたいと思います!!(言うだけならタダ)
 蓮さん、素敵なイラストご馳走様でしたv


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