忍の夢

□紅色のカンパネラ【竹谷八左衛門】
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轟く雷の音。
龍のように泳ぐ曇天を目で追いながら、俺は駆けていた。
忍術学園を出て4年の月日が流れていた。

平和な巣を立ち入り込んだ闇の世
此処で得られたものは、無情と血の臭いと虚無。

深紅に染まる、掌

問題ない。
何も感じることはない。

あるのは生きねばという感覚だけ。

忍に成りまだ日が浅いときは
この国も少なからず平和だった。

先生方はその時またそれ以前から風に混じる血の臭いを感じ取っていたようだが、卵にそんなことが分かるはずもなく

数年後、数多の国が戦地と化した

俺は卒業して、辺境の地に赴き其所で忍として活動し始めたが、領主は大変強欲な殿と噂であった。(彼はいずれ戦火を広げる火種となる。)

まあ俺はその国の忍を抜け、追われる身となってしまったのだが

ともかく俺は走っている

八左衛門「くっそ…………ッ」

油断した。
まさか刺客がこんなに早く来るなんて

右肩には深い傷をおい
抉れた皮膚は血を留める事ができない。

刺客は撒いた。

と信じよう。

ああ、あと少し

街まで降りたら人で隠れることができる。

血が道に滴り落ちる。

八左衛門「ッ………………」

痛い。

跡が残らないように肩の布を押さえつける。

俺も此処までか?

此処までなのか?

時々気を失いそうになる。
眼前は暗い

すると、雑木林の先に、古い神社が見えた。

俺は後ろを振り返る。

つけられてはいない。





俺はその社に倒れこみ

無防備な状態で其処に突っ伏して気を失った。

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